ウチの連れ合いは言語、あるいは音楽的には殆ど望むべくもないのだけれど、全く太刀打ちができない才能を備えていて、それは何かといったら、小さいところに多くのものを詰め込む才能なんである。たとえば、季節ものの洋服がしまわれている押し入れなんぞを開けてみると誠に実に立派なくらいに詰め込んである。
旅に出るときの奴のスーツケースなんぞを見て見ると実にビックリするのである。びっしりと詰め込んである。ひょっとすると奴の先祖はマチュピチュあたりから日本に移住してきたのではあるまいか、と思うほどなのである。
私はその分野の才能が絶無というほどで、自分のスーツケースなんぞは奴から見ると無駄なスペースだらけなんだそうで、見るに見かねるらしくて、気がつくと詰め直してあったりする。多分奴に先立たれてしまうと、確実にゴミ屋敷とはいえないから、ゴミ部屋と化していることになる。従って世の中のためには私が先にいっちゃわないといけないことになっている。
