日本の冗談音楽といったら普通の人はクレイジー・キャッツというんだけれど、その母体となったのはあのフランキー堺のシティー・スリッカーズ。で、フランキーがお手本としたのが、アメリカのスパイク・ジョーンズの名前もそのままぱくっちまったシティー・スリッカーズだよね。彼の名前を知らない人でも、彼の「ウィリアムテル序曲」はご存じのはず。うがいであのメロディーを奏でる奴。
スパイク・ジョーンズという名前は映画の監督にいる。全くの別人。
フランキー堺はかなりの人は東宝の映画で怪しげな英語訛りの日本語を操る広島訛りのハワイの日系人役で有名だったけれど、元はといえばドラマーで、あのバンドのバンマスだった。スパイク・ジョーンズもドラマーの出身だ。
彼は若い時から才能を知られていたらしい。麻布中学で小沢昭一、加藤武、大西信行、仲谷昇、なだいなだなんてところと同級生である。随分面白そうなメンツが集まっていたんだと羨ましい。しかし、なだいなだも一昨年に83歳で他界してしまい、今や残っているのは加藤武だけになった。フランキーは随分早くに亡くなったという印象だったけれど、享年67歳だからそんなに早すぎるわけでもない。ということは随分若い時から彼が露出していたということだからだろうなぁ。
この種の世界で忘れてはいけないのがスタン・フリバーグというおじさん。不思議なことにこの世界の人は皆さん、とっても歌が上手いのである。スタン・フリバーグの代表作といったら「ジョンとマーシャ」だろうけれど、私が随分昔に聴いたことがあるのが彼の「バナナ・ボート」。私は長年、この曲はスパイク・ジョーンズのものだと思い込んでいたので、いくら探しても見つからなかった。見つからないわけでスタン・フリバーグの作品だった。これは今でも私たちの仲間内では楽屋落ちに遣っている。