ほぼ足りてまだ欲 その先

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担任

 私が入学した頃の母校には1・2年の間は一般教養といっていました。ま、いってみれば昔の予科のようなもので、それは今でいったらリベラル・アーツのまねごとのようなものだったのでしょう。その証拠に、経済学部だというのに、人類学や、生物、英語、独語、はたまた数学までありました。ま、今から考えてみれば、在籍している学生たちはまったくそんなことを考えちゃいないのに、如何にも経済学の研究者として育つための広い見識を学ばんとするものだったわけですが、表面的だったなぁと思いますな。
 で、その間には固定教室といって、日頃の語学系の授業を行う教室が指定されていて、そこには各学生の出席率を示す表示がされていました。つまり毎授業出欠をとっていました。しかも、驚くべきことに、担任の教授が指定されていたのです。学期の始まりにはちゃんとホームルームなんぞを開いておりました。その私たちのクラスの担任が今でもご健在のバロックの先生だった。その分野の研究者としては群を抜いた知名度で、NHKの番組にも未だに登場しているが、とうとう来年には90歳になるそうだ。
 先生は当時40代半ばで研究者としては脂の載った頃だから、そんな年端もいかない生意気な男ばかりのクラスにかまっている場合ではなかったのだろう、年に一二度しかお目にかからない担任だった。そのくせ「私はコンパは大好きだからいつでも声をかけたまえ」といっていたけれど、一度としてご光臨を賜ったことはない。挙げ句に、参加したサークルの顧問をしてくださっていたのだけれど、グリークラブは指揮し続けておられたけれど、こっちの活動にはこれまた、一度もご光臨いただけなかった。
 その割には学校からお帰りのお姿はよく拝見したものだけれど、その節は必ずといって良いほど、煌びやかな女子学生たちを周りに纏わせながらお帰りだったことを思い出す。お元気なお声をラジオでお伺いする度に、そんなことを思い出す日曜日の朝だ。