ほぼ足りてまだ欲 その先

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覚悟

 トランプ次期大統領がツイッターで(これもどうもけち臭い話でございますが)「トヨタはメキシコに工場を作るんじゃない!米国に作るか、高い関税を払え!」といったとかで大騒ぎでございますよね。それがまた、トヨタ様の豊田様が「メキシコの工場は予定通りだ」といったすぐあとでございますから、余計でございますな。
 トランプ爺は「強いアメリカを取り戻す!」といって当選したわけで(ここは「美しい国を取り戻す」といっていた誰かさんとそっくりですが)、そういっちゃった以上、そういわざるを得ないわけですが、つうことはアメリカに住んでいる人たちはそれ相応の高いものを買う、それを負担する生活を余儀なくされるということになるわけで、それが成り立つかどうか、壮大な大実験を敢行することになるわけです。
 何しろアメリカの製造業というのは、もともと自分の工場をメンテにメンテを繰り返し、その度に膨大な設備投資を施してより進んだ製品を作り出していく、労働者を訓練していくという方向にはありませんでしたよねぇ。どんな方向にあったのかといったら、できるだけ拙いところは隠して工場そのものを、会社そのものを高く他に売りつける、ということに腐心してきました。その結果として、かつて私たちが子どもの頃モータータウンと習ったデトロイトもどんどん寂れてきちゃったわけです。
 それは今だって同じように続いていますよ。メーカーの工場ではありませんけれど、New Yorkのマンハッタンにいってみたら、それはそれはもう古い古い、それこそ1920年代に建ったんじゃないかと思われるホテルがいくつもいくつも、平然とそのままの設備で運営されていますよ。それをどんどん、かつては日本資本が買い、今では韓国資本、中国資本が買い取って、高い宿泊料を取ってやっています。懐古趣味がおありの方にとっては、ある意味宝庫といって良いかもしれません。
 そうした風潮に輪をかけたのが日本製の自動車だという判断はかつて70年代から80年代にかけてまさに米国労働組合の攻撃の的だったことを忘れちゃいませんよ。日本車をハンマーでぶちこわす映像を何回も見せられましたもの。
 しかし、どんどん米国自動車メーカーは縮小を余儀なくされましたから、これから取り返すのは相当な設備投資を要求されることになります。労賃も他国で製造するのに比べたら当然高くなります。さもなければトランプ爺が嫌がる移民労働者を増やすしかない。そうしないと高い車を米国民が買い支えられるだろうか、ということになるわけです。それができれば、つまり鎖国をして国内で充分に経済市場を活発化させることができれば、トランプ爺は英雄になることが出来る可能性があります。しかし、そうなった時には、多分世の中はロシアと中国のやりたい放題になっていることでしょうねぇ。
 それが強いアメリカだということになるのか、どうか。それが4年間で見えるようになるのかどうか。フォードはメキシコ工場構想を撤回したそうですから、やる気ですよね。そうなると日本の株式市場はガタガタになって安部君真っ青!あ、もうその頃には彼はいないか。気楽なもんだな。