ほぼ足りてまだ欲 その先

「ほぼ足りてまだ欲」がはてなダイヤリーの廃止にともないこちらに移りました。

我慢

 前にも一度書いたことがあるかも知れない。
 もう40年ほど前に、アフリカのプロジェクトに組み込まれたことがあった。このプロジェクトには会社から25人ほどが配属され、関係する企業、つまり下請け企業や、取引先企業からも派遣を要請して、全部で40人ほどの日本人スタッフが派遣された。準備段階で、現地での居住施設が徐々に明らかになって、準備作業が熾烈を極めていた頃、私たちは当然不便な自然環境の中へ行くのだから、日本での環境とは比べようもない条件の中で労働するのが当たり前のような感覚でいた。
 ところが、それまでに外地でのプロジェクトを経験してきているある先輩が、それじゃダメなんだと力説した。良いか、アメリカのエンジニアリング企業がどうして現地でいながら、母国にいるような条件を再現しようとするのかといったら、それがより人間らしい労働環境を作るということなんだ、それを忘れるなというのだ。ハッとした。それから、様々な準備により一層力が入った。
 今の日本でも同じように我慢をしようとする。「仕方がない」といって。それなのに、肝心の政府は、国民の意識を逆なでする。我慢を重ねて仮設住宅で暮らしているというのに、それすら、もう充分時間が経ったからといって出て行けという。
 それがどれほど人間的環境を踏みにじる行為なのか、この国の政府はわかっちゃいない。彼らは自分たちが社長で国民は戦争中にパプアニューギニアを右往左往させられた兵隊と変わらないと思っている。つまり国民の税金で支えられて暮らしていながら、彼らの上に立っていると思っている。