ほぼ足りてまだ欲 その先

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アルジェリア

 犠牲者はみんな帰国し、ばらばらに葬儀が営まれ、国会で黙祷が捧げられ、これでこの事件は終わりなのか。
 今回の事件ではマスコミは情実に訴える報道に終始した。そして霞ヶ関を含めて政府はこれをチャンスとして使うことに腐心した。政府専用機を飛ばしたことは「努力」を認めさせることに非常に役立った。その証拠に直後の内閣支持率世論調査に反映されていた。
 この事件で大変に驚いたのは、こうした現場にも日本から派遣で出かけている人がいるということだった。労働者派遣というシステムがこんな現場にまで浸透しているのだとは知らなかった。現場から離れてもう既に20年近く経つとまったくついて行けない。かつてはそれぞれの専門分野の各企業からその背番号を背負って集まってきていたのを日本の労働者も派遣企業に登録してやってくるようになっていたということだ。
 今回の事件は徹底的に捜査をしてその報告を発表しないことにはアルジェリアでのこの手のプロジェクトはコストがかかるようになることになるだろう。一攫千金を求めて集まってくる労働者はいるだろうけれど、これまで通りのコストでは人は集まらなくなる。いくらなんでも、警戒がされているということになっているサイトにも拘わらずこんな事件が起きた以上、そう簡単に技術者はいかない。
 自民党はこれを良い機会だと捉えて自衛隊法を改正するんだと息巻いているようだけれど、そんなものをいじったくらいでは自衛隊をすぐさま現地に派遣なんてできるわけがない。アルジェリア政府から断られるに決まっている。その後押しをしてたきつけるマスコミが必ずいるだろう。なにしろわが日本国のマスコミは今や政党機関紙もかくやと思われるほどのヨイショ体質だから。

日経新聞がこんな記事を載せている。

 ロンドンのリスク査定・予測会社「エグゼキュティブ・アナリシス」が昨年2回にわたって、南アルジェリア地区の原油天然ガス施設、並びに外国人従業員がイスラム原理派による誘拐・攻撃の標的になる可能性を予測していた。米国CNBCテレビが関連書類を入手したとして報道している。
 しかも、今回標的となったイナメナス天然ガス施設を名指しで特定して、そこで働く外国人従業員が身代金目的の誘拐の標的をなるリスクにさらされていると警告していた。
 まず、同社が発行した2012年7月2日付の顧客向けリポートでは「アルジェリア政府が主たる標的だが、アルジェリア南西部の原油施設が潜在的標的」と指摘。
 さらに2012年9月25日付リポートでは「イナメナスにおけるBP社などの外国人労働者が、特に道路上で移動中にリスクにさらされるであろう」と述べ、「アルカイダがマリの有力者や指導者へ賄賂を支払った結果、資金不足に陥り、南アルジェリアで誘拐を企てる」としている。(日経2013/1/28 8:03)

 これが事実だとすると、あたかも福島第一における津波の可能性レポートのようにやっぱりこちらでも真剣に検討することができていなかったということになる。

追記:NHKのニュースでアルジェリア人の労働者が証言していたところによると、テロ集団の中には日揮の偽IDを持っていたのがいたといっている。彼はどこで見たのだろうか。どうやら身体に爆薬をつけた人間が真ん中にいて、人質は周囲に座らされていたという証言もしていた。