ほぼ足りてまだ欲 その先

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そしてだれもいなくなった

 週刊金曜日という週刊誌を知らない人は多分結構いるだろう。ホームレスの人が立ち売りしている「ビッグ・イシュー」よりは知られているかも知れない。広告を一切掲載していない、リベラル派の週刊誌で、創刊から26年くらいだけれど、今や多分発行部数は1万部ちょっとくらいじゃないだろうか。もっと売れても良いと思うんだけれど、皆さん、週刊文春や新潮のようなゴシップものの方がお好き。
 週刊金曜日は様々な出版物も出している。これは2006年に紀伊國屋ホールでひらかれた、集まりの記録。司会は「話の特集」の矢崎泰久で、講演者は井上ひさし永六輔小沢昭一の三人。それぞれの話のあと三人の鼎談があったそうで、それをそのまま記録している。薄い本で、すぐに読み通せてしまう。もうこの三人は一人も生き残っていない。遅筆で有名な井上ひさしは凝り性だから遅筆なんだろうなぁ。こういう視点でいつまでも昭和の全体主義に陥ったあの時代を語り継ぐ人たちがどんどんいなくなり、あの頃を美化する論調が総理大臣を始め、どんどん強くなってきた。警鐘を鳴らす人がどんどんいなくなって、弱い人たちを徹底的に貶める論調が幅をきかせてきていることは驚くばかりだ。