あの戦争が終わった後で在日朝鮮人の人たちが北朝鮮に帰国するという事業が行われたことは、もうほとんどの人たちは忘れているのかも知れない。昨日の夜23時からのNHK ETV特集「北朝鮮 “帰国事業” 60年後の証言」があった。チャンネルを回して(実際はボタンを押していたのだけれど)いて遭遇したので、最初の方を見落としている。30日の午前0時(つまり29日の夜中)に再放送がある。
日本赤十字が絡んでいたことは知っていた。当時、岩波書店もこれを後押しするようなことを発信していたとどこかで読んだことがある。
ウィキペディアによれば、「93,340人が北朝鮮へ渡航し、そのうち少なくとも6,839人は日本人妻や保護する子女といった日本国籍保持者」だったそうだ。驚くべきは何度か中断していたけれど、1984年まで続いていたということだ。最後の頃は朝鮮総連の幹部の家族が人質のように北朝鮮に連れて行かれたのだということだった。
日本に暮らしていた朝鮮半島籍の人たちが「北朝鮮は夢のような楽園」であると説明されていたというのは知っていたのだけれど、驚いたのは、北朝鮮の人々は、日本で差別に苦しみ、ろくに食べることもできずに困窮の中にいた同胞が帰ってくるんだという説明で到着三日前から歓迎の練習をしたという。しかし、船が着いてみると、お互いがお互いを見て、こりゃ説明されていたこととは全く違うと驚いたという。日本からいった人たちは「こりゃ楽園なんかじゃないぞ!」と思い、北朝鮮の人たちは、ふくよかそうな顔つき、装いの人たちに違和感を持ったというのだ。
番組は脱北した人たちの言葉を引用して思惑の相違を説明している。