- 作者:ひさし, 井上
- 発売日: 2009/01/25
- メディア: 文庫
私はあんまり、というか、ほとんど小説を読まないので、たまにその類いを読むと、結構楽しいものがあるんだけれど、この本には随分楽しませて貰った。十二編の短編なんだけれど、その全てが手紙の文章そのものであって、台詞があるとか、場の状況の解説があるというわけではない。
そして最近ついたらしいオビにあるように、「隠れた名作ミステリ どんでん返しの見本市だ!!」が当たっている。但し、中身のほとんどは男女の愛憎展覧会みたいなもの。
アマゾンのレビューの中には、そんな巧い具合に展開するわけがないと書いている人がいるんだけれど、そんなことをいったら、小説なんてみんな、どれもこれもそんな巧い具合に展開なんかしないぞ、と言い続けるしかなくなるぞ。その証拠に私はテレビのドラマを見ながら時々「そんなわきゃねぇだろ!」と呟いたりしている。だからドラマを見てはいけないなと思ってほとんど見ない。しかし、つれあいはドラマ大好き、それもアメリカのドラマが大好きで、その種のドラマはほぼ拳銃を取りだしてバビュンとうったり、残酷な手段で人を殺す。だから私は「人殺しドラマ」と呼称している。