世の中には知らないことだらけで、嬉しくなるというか、焦るというか、もう追いつかない。
1972年の年末に思想の科学が出版した「共同研究日本占領」という本がある。二段組みで600頁というとてつもない分量。ところがそれだけにはとどまらない。1978年8月に「共同研究日本占領軍」という上下および別冊事典という大量レポートが出版されていた。つい先日まで知らなかった。「思想の科学」の共同研究本というのは「転向」だけだと思っていた。こっちも相当な分量で、1962年の出版時、三分冊でA5で1522頁である。これは随分前に、古本で入手済みだった。もっともこっちは2012年2月に平凡社から東洋文庫として6分冊でも出版されたことがある。こちらは電子版にもなっていて、読む分にはデジタルで読む方が読みやすい。この手の出版物は大変に重たいので、送料がかさむ。その点でもデジタル版は歓迎されるだろう。
デジタル版といえば、マイケル・サンデルの新著「実力も運のうち 能力主義は正義か?」は日本語訳が先月出版されたが、デジタル版どころか、audible版、つまり読み上げ版にもなっていて、思わず飛びついたら、翻訳がどうもなにのようで、日本語としてなかなかスッキリと頭に入ってこない。こういうものは余計翻訳の善し悪しが直結してしまう。風呂の扉の外にiPadを置いて聴いていたら身体を洗う手がなかなか進まない。
閑話休題。
で、もちろん上記"共同研究"「日本占領」と「日本占領軍」は連続するべきものであって、不可分であるわけだけれど、執筆者に、竹前栄二、加田こうじ、袖井林二郎、都留重人、見田宗介、鶴見俊輔等々、思想の科学と縁のありそうな人たちが名前を連ねていて、知らなかったことが悔やまれる本だ。