私は末っ子の長男なので、普段家にいる唯一の男性だった。つまり、父親は普段は仕事に行っていてほとんど家で登場しなかった。週末だけはいたけれど、たまの休みだから家族で出かけようとすると、電話がかかってきて、また仕事場に駆り出されたりするような状況だった。だからかもしれないが、うちでは女性三人が牛耳っており、平気で下着の話だってしていたから、シミーズがどうのこうのと話していた事もある。もうこの国ではシミーズという単語を聞かない。それの裾がスカートから見えていると、恥ずかしいもの、であった。だから、見えたまま街を歩いていたから、あの人は「シミズ見え子さんだわ」なんていっていたものだ。今から考えると、可愛いもんじゃないか。
