ほぼ足りてまだ欲 その先

「ほぼ足りてまだ欲」がはてなダイヤリーの廃止にともないこちらに移りました。

アンデルセン

 広島のパンやさん、アンデルセンといえばあっちにもこっちにもある「リトル・マーメイド」でよく知られている。大体お洒落な駅前なんかのロータリーにあったりする。大体何かプレゼントキャンペーンなんてやっている。女学生なんかが入りやすそうである。おじさんにはちょっとくすぐったい。元はといえば広島の普通のパンやさんだったらしいが、創業者がデンマークのパンに感動して日本でも、とダニッシュなんたらを作り始めたのが今日の礎になっているらしく、良く成功物語としてお伺いする。このパンやさんがどうやらコペンハーゲンに出店するらしくて話題になっているのだそうだ(こちら)。しかし、日本のやり方の様なシステムを持ち込んだら多分大騒ぎになっちゃうのではないだろうか。一体どうやってやっていくのだろうか。バンコックのおにぎりやさんが東京におにぎりやを開く様な物か(なんちゅうたとえだろうか)。かつて仕事の関係で接点のあったグラフィック・デザイナーのおじさんが確かこの会社のグラフィックをやっていたと成果を見せてくれたことがあった。でも、押し出しの強い方でかなわなかったなぁ。
 しかし、日本のパンやさんのパンは本当においしいし、時代の流れに敏感で様々な工夫をするからどこにいって「あぁ、あの日本のパン屋がここにあればいいのになぁ」と思うものだ。そこにいくと私が経験した豪州のパンやさんなんかはいつまで経っても昔のパンを作り続ける傾向にある様な気がする。不勉強といえば不勉強で、頑固っていえば頑固。その代わりいつまでもその味は残る。たとえばマフィンやらスコーンなんてものはぶこつながら伝統の味をそのまま伝えていてしっかりしている。この類のものを日本のパンやさんでもとめると、お洒落なスタイルにすっかり骨抜きになっていて、それでいて(それだからこそか)高い。食べてみると全然別物の様な気がする。例えていえば落語の「目黒のさんま」に出てくるお屋敷で作られた秋刀魚の料理の様なものだ。尤もそんな物を出すパン屋さんは高級なパン屋さんにちげぇねぇ。