ほぼ足りてまだ欲 その先

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夕立

 プールから出てくると一気にどばっと降る雨だった。確かに行く時にもなにやら西の空が暗く見えていたから怪しいなぁという雰囲気はしていたのだけれど、どうせ濡れに行くんだから折りたたみの傘なんかわざわざ持っていくのも面倒くさいと持たずに出た。なにしろプールに行く時はできるだけ何も持たずに行く。金だって、入場料とロッカーで必要な百円玉だけしか持たない。精々プラス百円位だ。
 で、別に急ぐ旅でもないからと、プールの入り口でぼんやり空を見上げながら雨が小やみになる時は必ず来るだろうからと雨宿りをしていた。
 そこに若い、そうさなぁ二十歳そこそこと思われるような下は黒いズボン、上は白いカッターシャツで鞄を袈裟懸けにした男が出てきた。彼も空を見上げている。どうするんだろうなぁと思って見ていると(なにしろこっちは暇だもの)、彼は鞄から何かをごそごそとさがしていたと思ったら、やにわに自転車に手をかけ、鍵を外している。思い切ったんだな、と思ったら彼は頭にグレーのスイムキャップを被っているのだった。あの合成ゴムのキャップである。思わず笑った。まるでその辺のコメディに出てくる坊さん役のカツラのようなのだよ。
 オイオイ、それの意味ってなにかあるのかね!どうせだったら、ついでに着ているものも全部脱いで水着になっちゃえばいいのにね。ゴーグルつけて。そうすりゃ、うけるよぉ〜、それは。
 外に出ると楽しいことに遭遇するのだ。