ほぼ足りてまだ欲 その先

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疑問はありませんか?

 昨日のNHKのニュースのひとつ。

 東日本大震災で大きな被害を受けた岩手、宮城、福島の3県で働く海外からの技能実習生は、震災から1年近くたった今も、震災前の半数以下にとどまっていることが分かりました。
これは、技能実習制度を進めている国際研修協力機構が、先月、東北地方や茨城、千葉の8つの県にあるおよそ3000社を対象に行った調査で、明らかになったものです。
それによりますと、このうち岩手、宮城、福島の3県の実習生の数は合わせて2005人と、震災前の48.9%に減少しています。
震災前に比べて、実習生が最も減ったのが宮城県で、震災前の27.0%の人数にとどまっているほか、福島県は55.9%、岩手県は61.8%となっています。
これは、震災後に帰国した実習生のうち、日本に戻った人数が20%にも満たないためで、沿岸の水産加工会社などの復旧が遅れ、実習生が戻れないことも背景にあるとみられます。
一方、国籍別に見ますと、中国人の実習生は大幅に減っていますが、ベトナムやフィリピンからの実習生は増えている県もあり、被災地の企業からは「ベトナム語の教科書を送ってほしい」といった相談も寄せられているということです。
国際研修協力機構の佐田通明専務理事は「中国だけでなく、ほかの国からの実習生を増やし、多様化を図らざるをえない」と話しています。(NHKニュース 2002年2月21日 21時48分)

 自ずとこの国の労働環境が外国人からの労働搾取に成り立っていることを物語っているニュースになっているのだけれど、NHKのニュースはここで終わっている。なぜここで終わりなのか。このニュースで私達はこの国の技能実習生制度というものが飽くまでも外国人労働者を格安で調達し、搾取することでこの国の経済を成り立たせるための欺瞞でしかないということを自覚しなくてはならない。
 このニュースを報じる側も、そしてこれを受け取る側も、おかしい話だと思っていない。このニュースが「3.11以降帰国してしまった外国からの出稼ぎ労働者がこれだけ減ってしまって生産現場は困惑の渦中にある」というものであればおかしくはない。しかし、飽くまでも彼らは技能研修生・実習生なのだ。研修生・実習生なんだから、この混乱の時に現場にいて貰うよりもいて貰わない方が現地の足かせにならなくて良いのではないのか。
「中国だけでなく、ほかの国からの実習生を増やし、多様化を図らざるをえない」のはなぜか。それは彼らが一次加工の現場では重要な労働の担い手となっているからだ。その担い手をどんなに冷遇しても、低賃金で働かしても良いと振り回してきたのが現状だ。
 これから先、より良い環境を提供しないと外国からの労働者が調達できないということになるとこの国の一次加工産業はどうなるのだろうか。成り立たなくなる。日本国内の労働力で賄うことになると製品単価が正常のレベルに戻るということになる。それは即高騰化ということに繋がる、のが普通だろう。しかし、これからの日本の経済状況ではそれでは需要を喚起できない。するとこの分野は自然消滅して、そこから生み出されてきた製品はまぼろし化していく。
 残念かも知れないけれど、それは致し方のないことだろう。そういう労働に従事する人がいなくなれば、その産業は自然消滅するしかない。それを「労働」を「研修」あるいは「実習」という言葉に置き換えて労働搾取を続けることに較べたらなんぼか人間的だというしかない。