ほぼ足りてまだ欲 その先

「ほぼ足りてまだ欲」がはてなダイヤリーの廃止にともないこちらに移りました。

外出

 水曜日なので新宿へ。今朝は北から吹く風がとても涼しくて、日向はあんまり変わらないのに、日陰に来ると風が吹けば一瞬でもひやっとした感覚が忍び寄ってきて、随分と気持ちがよい。ま、熱都東京がそう簡単に退散するとは思えず、これも一日二日でどうせまた元に戻ってしまうに相違ない。しばしの間の秋風である。
 どうも新宿に来ると包帯グルグルビルの中の Book 1stに立ち寄ってしまう。今日はしかし、新書に私を呼び込む力がどこかにあるらしくて、新刊の新書をずらずらと並べてある棚にいってみていたらこんなものを見つけた。

韓国とキリスト教 (中公新書)

韓国とキリスト教 (中公新書)

韓国のキリスト教徒の数はとても多くて、東アジアでは非常に奇異に感じられるものがあるのだけれど、その理由はなんだろうかとこれまでも思ってきたがほとんど解明するチャンスがなかった。そういえば植民地時代に強要された神社参拝を拒否した韓国に於けるキリスト者についての本を目にしたことがあるけれど、だからこそ韓国のキリスト教には大きな理由があってしかるべきなのだろうと思っていた。私にとってタイムリーである。期せずしてこんな本も出ているのだそうだ。

韓国キリスト教史概論―その出会いと葛藤 (アジアキリスト教史叢書 1)

韓国キリスト教史概論―その出会いと葛藤 (アジアキリスト教史叢書 1)


 やはり8月だからなのだろうか、アジア太平洋戦争がらみの題材を扱った新書が見つかる。

残留日本兵 - アジアに生きた一万人の戦後 (中公新書)

残留日本兵 - アジアに生きた一万人の戦後 (中公新書)

 著者は1984年生まれの若手研究者のようで、これまでインドネシア残留日本兵に関する著書が複数ある。同じような若手研究者で昭和史について著す研究者は保阪正康の指摘を受けるまでもなく、ここのところ非常に特徴的な傾向かも知れない。
 ただ非常に研究対照的な扱いであることも同様に特徴的だといって良いだろう。

 これとは対極にあるかも知れないのが、こちらである。

二世兵士 激戦の記録: 日系アメリカ人の第二次大戦 (新潮新書)

二世兵士 激戦の記録: 日系アメリカ人の第二次大戦 (新潮新書)

 著者は出版社勤務から一転してスタンフォードでジャーナリズムを学びカリフォルニアに移住して、偶々日系米兵の「Go For Broke」の日本取材の通訳をやったことから戦中の日系二世たちの戦争中のことを取材してこの本にしたという。巻末の参考文献のリストアップを見るとすぐにわかるけれど、これは研究論文の形態を取っていない。さりとて、近いといっても良いかも知れないけれど、ルポそのものとも言い難い。そんなことをいってはなんだけれど、なんだか長い修士論文を読んでいるような気になる。もうちょっとここを掘ってみて欲しいのに、と思ってしまうのは私がこれまでこの分野を何も書けないくせにいっぱしに携わってきたからなのかも知れない。
 むしろ逆に今の若い人たちが興味を持ってくれて、在米日系人社会について関心を寄せてくれる人たちが出てきてくれたらという願いを込めて書かれたと判断することができるのかも知れない。
 Go For Broke National Education Center
 → http://www.goforbroke.org