今でも時としてネット上で「ピエンロー」が話題になる。こんな簡単なのに旨い!という論調で。白菜、豚ばら肉、鶏もも肉、春雨を煮ただけ。これを器にとって各自、自分の好みで塩と七味唐辛子を振って食べる。いちいち自分の味にするのが面倒といえば面倒だけれど、自分の好きにできるところがいい。
私がこれを試したのはもう40年くらい前のことで、どうしてこれを知ったのかといったら、妹尾河童さんの本だ。
なんせ彼は一時とてもたくさんの本を出したから、どの本だったかわからない。とにかく最初に読んだのは「河童が覗いたインド」だったか、「河童が覗いたヨーロッパ」だっただろう。鳥葬の話や、北へ行くほど壁が薄くなる話やらが頭に残っている。
何しろ彼の本には彼の手になる丹念な絵がついているだけではなくて、ものによっては活字ではなくて、彼の手書きの文字だった。それは私が理想とする形態で、いつまでも私が年賀状を自分の手書き文字で作りたかったのに似ている。
彼は少年Hを出してから、「そんなはずはないだろう」というようなチャチャが入ってあれからほとんど本を出していないはずだ。
- 作者: 妹尾河童
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 1995/11
- メディア: 単行本
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