ほぼ足りてまだ欲 その先

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介護

 認知症というのは突然やってくるものではないらしい。徐々に訪れるようだ。24時間のうちにほんの何分か、訳わからなくなったりするらしい。それもあれ?これはわかるのにこれはわからんぞ?ってなるらしい。だから、面倒なんだろう。話しているのはちゃんとわかるのに、あれ?林檎ってどう剥いたっけ?となるらしい。
 うちのおふくろが機嫌良く唄っていたと思ったら、ベッドに入ってしばらく経ったら一人二役のお婆さんの会話をやっていたりして、こっちはうろたえたけれど、そういうものなのだ。いっぺんにがばっと認知症になってしまうというのであれば、そうなったら、お金で他人の介護を雇ってね、といってしまえば良いのだけれど、まったく知らないところで、知らない人たちに囲まれて、あのね、君たちは知らないだろうけれど、私はこういう人生を送ったのさ、といっても多分「なんだろうなぁ、この爺さんは」という反応しか得られなくて、そんな素にかえったりしちゃって、焦るんだろうなぁ。難しいのはそこだよ。
 夕方になるとそわそわして、「どうしたんです?」って聞くと「娘が迎えに来るはずなんだよなぁ」といっている認知症のお爺さんや、お婆さんがたまさかいるものだ。多分「こいつがわかるわけないよなぁ、見たこともない人だし、多分さっきからこの爺さんは面倒だなぁと思っているんだろうなぁ、早く娘は来ないのかなぁ・・」と思っているはずだ。おかしいなぁと思っているうちに何だか訳わからなくなって飯を食っていたりするんだろうなぁ。