ようやく図書館に本を返しに行くことができた。バスに乗るまではただの曇り空だったのに、上野のお山に差し掛かるやいなや、一気に驟雨が襲ってきた。正に襲ってきたという感じだった。何だか久しぶりの雨だ。ところが図書館の傍でバスを降りた時には、もう降っていなかった。COVID-19の騒ぎでどうだろうと思ったけれど、街中はいつもの様子とほとんど変わりはない。図書館で「遅くなってすみません!」といって4冊の本を出したら、アルバイトとおぼしき若い男性が何かをいった。マスクをしていてビニールの向こうなので、何を云っているのかわからない。「え?」と二回聞き返したら、彼がいっていたのは決まり文句の「次回は気をつけて下さい」だった。メールのやりとりを知っているわけではないからしょうがない。
広小路に出て、デパートの地下へ降りると、お爺さん、お婆さんはまったく桁違いに感染者が判明していることなぞ、どこ吹く風である。ま、自分もそのうちの一人に過ぎない。パン屋に目当てのパンがなく、仕方がないから上野駅へ向かう。外は降ったりしている。あ、そうだ、そういえば地下の通路があるはずだ、とデパートの受付で聞くと、例の法外な予算を掛けた駐車場を造った時に、できた通路があるという。言われた通り、アップダウンはあるし、上野駅に近づくに従ってわずかな傾斜をのぼっている。途中からやけに幅が広くなり、気がつくと。壁にショーウィンドウのようなものがいくつも並んでいる。見ると、令和2年卒業制作展、としてあるから、多分藝大の学生のものならん。さすがに天下の藝大の学生によるものだけに完成度は高い!一見の価値がある。帰りのバスに乗ると、またまた驟雨が襲ってきた。涼しいのは良いが、まるで金魚鉢の中にでもいるような湿気だけは我慢できない。