先週金曜日(6月9日)にTBSがこんな閣議決定を報じていた。
政府は9日、ODA=政府開発援助の指針を定めた新たな「開発協力大綱」を閣議決定しました。改定は8年ぶりで、相手国の要請を待たない「オファー型」の支援の導入を掲げています。
新たな大綱では、ODAの基本方針として「平和国家としての我が国に最もふさわしい国際貢献の一つである」などと記し、「外交の最も重要なツール」と位置づけています。
これまでODAは相手国の要請を受ける形で行ってきましたが、新たな大綱では、要請を待たずに行う「オファー型」の導入を掲げています。
また、過剰な貸し付けで途上国を借金漬けにしてインフラなどの資産を差し押さえる「債務のわな」と呼ばれる中国などのやり方が批判を受けていることを念頭に、途上国の経済社会開発を中長期的に持続可能なものとするよう十分配慮するなど、「債務の持続可能性」を明記しています。
大綱の改定はおよそ8年ぶりです。
「オファー型支援」だと。
これまでの方式をなんというのか知らないけれど、いってみれば「リクエスト型支援」とでもいうのか。
これまでの仕組みはこういうことになっていた。
日本の開発援助を必要とする国は、どんな開発援助が必要なのか、ということを当該国にある日本公館に申請をする。
在外公館はそれを受けて、本省に伝える。この場合の本省というのは外務省のこと。
外務省がそれを予算化して、政府がこれを認めて発注する。
しかし、当該国政府が、右から左にヨイショと日本公館に申請することができる術がない。
じゃ、どうするのか。
実は、日本企業が手をお貸しする。どうお貸しするのかというと、「おたくの国にこんなものを作ったらインフラ上で役に立つんじゃないですか?日本政府にうまく申請すれば日本の国から金がもらえたり、低利、あるいは無利子で借りれますよ!その上、上手いこといったら、うちの知りあいから表に出ないお金だって献上仕りますよ!どうです?」という手が出てきますね。その上、「申請は私たちが手になり足になってお手伝いしますから、全然面倒なことはないですよ」ということになるわけ。
だから、当該国政府は独裁国家だったりするとこれはひじょーーにやりやすくなる。それがわかりやすいのは昔のマルコス政権やら東南アジアの各国への賠償プロジェクトだったんだけれど、今でもこれとほぼおんなじだったんじゃないかなぁと。
で、この手のプロジェクトにお金がつくと、日本企業間だったり、海外の企業も含めての入札ということになるわけだけれど、ここまでこのプロジェクトを育ててきた企業にとっては、関係のなかった企業にドッカーンと安値で入札されて持っていかれちゃったら目も当てられないわけで、日本国内の仲間の間では「俺のプロジェクトだからな!」と宣言しちゃうし、自分が作ってきたプロジェクトでなかったら、誰か他の企業が育ててきたわけだから、手を出さない、てことになる。ま、悪い言い方したら緩い談合みたいなもんだ。
プロジェクトを育てるってのは時間も手間も、もちろん金もかかる。だから確実にモノにしなくちゃならない。
例えば、ビルマでクーデターを軍隊が起こして政権を握った。そんな政府相手に開発援助を日本政府はするわけにはいかなかった。それではどうしたか。アウンサン・スーチーの軟禁を解けと、そうすれば日本政府は軍事政権を認めて金が出るぞ、と説得・・したのは日本政府ではなくて、日本の企業群だったわけよ。それまで日本企業はヤンゴンに持っていた事務所をずっと継続してきた。いつ、どう展開するのかわからないからね。今の日本政府はビルマの軍事政権を認めている。おかげで軍人が日本に留学していたり、日本企業は仕事を得ている。
岸田文雄だけじゃないけれど、これまで日本の首相が外交と称して発展途上の国を歴訪するが、なんでこの国と、次がこの国で、今どきこんな国を訪問して援助ばらまきするんだろうと不思議に思える。だいたい、こうした訪問には多くの日本企業が金魚のフンのように連なって出かけていく。なんでだろうと。それはこうした開発援助の総仕上げの儀式のためなのだ。国内の国民が非正規の仕事ばかりになって賃金はあがりもせず、6人に一人は「貧困」と呼ばれる生活を強いられる中、なんでばら撒きに余念がないのだろうと思えるのは、つまり(ひょっとするとであるけれど)日本企業のためなのではあるまいかと邪推することが可能であるかもしれない(と濁しておく)。
それが今度からは「オファー型」なんぞといって、もう当該国政府が在外公館に面倒臭い申請なんてなし!ってことにして、(日本企業がやりたいように)こっちから「オタクの国にはこれがあると便利なんじゃないですか?」と積極的に売り込んでいこうってこと(じゃないかなぁと思ったりする)。つまり積極的に日本政府が営業してくれちゃう!その代わりにもちろん日本政府に何かしないわけにいかなくならないのかなぁと思うよね。何かって、つまりお菓子の箱の底にぎっしり詰まった小判みたいなモノだったりするかもしれない。そうではないかもしれない。日本政府ったって、実態はそれを構築している「選挙屋集団」だけれどね。
誰が岸田文雄を焚き付けて、省エネ開発援助方式をやらせてんだろうね。ま、おおよそ見当がつくのは大企業の集まりじゃないかぁと思ったりしちゃうわけだ。いやいや、とにかく「国民の安全と安心」をモットーにしている自公維国政権がそんな変なことするわけないじゃないか!
ブルブル!