ほぼ足りてまだ欲 その先

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テロ犠牲者 イナメナス

 日本人でテロの犠牲者になったのは非情に珍しい。それも一度にこれだけの人数が殺されてしまった。一節によると中には手を縛られたまま死んでいたものもいたという。この人達は人質として捉えられていたということだろうか。
 これは非常に大きな意味を持つ事件である。建設中のプラントというのものはセキュリティー上からいったら無防備に近い。それでもフェンスを作るくらいに警戒していたというのに、やられてしまった。軍が常駐していたというのにやられてしまった。前にも書いたように砂漠のど真ん中の現場では周りはよく見えるということはあたかも海の中の孤島のようなものだ。その証拠にあのあたりの砂漠は地図の上では「Sand Sea」と書かれたものを見たことがある。こういう危険性が常態であるということになると、今回のBPやStatoilの様に投資する会社がなくなるとは思えないけれど、工事を引き受ける企業側の腰が引けてくることは充分に考えられる。
 その分入札価格が高騰していく可能性はある。その隙を狙ってその危険性に目をつぶって受注に走る企業が出てくる可能性もあるだろう。そうなると今後こういう事件が起きた時にはまた同じような犠牲が出る可能性があることを予想するのが必要なこととなる。
 アルジェリア自身にとっての問題ともなるかも知れないけれど、これはアルジェリア一国に留まらないだろう。リビアにしたってその南に連なる各国についてもこれから先の開発に暗雲が立ちこめる。アルカイダイスラムの正義にたって闘っているつもりかも知れないけれど、そのままイスラムの同胞の首を絞めてもいる。
 JGCの社長や外務政務官が現場に貼り付いて犠牲者の首実検に役に立つのかといぶかっていたが、現地で働いていて無事に解放された日本人従業員や、フィリピン人のスタッフが奔走したのだそうだ。彼らの心情には同情を禁じ得ない。多分「助かった」自分をこれから先の人生で抱えて行かなくてはならない。
 エンジニアリングの仕事というのは飽くまでも狩猟型の仕事で、常に危険にさらされた、孤立した労働環境にいる職業なんだなぁと認識を新たにする事件である。