ほぼ足りてまだ欲 その先

「ほぼ足りてまだ欲」がはてなダイヤリーの廃止にともないこちらに移りました。

祝膳

 どういう訳か、わが家では豪華ディナーというとすき焼きってことになるらしい。今回は娘の誕生日のディナーなんだけれど、実はもう彼女の誕生日はとっくに通り過ぎていて、都合が付くのが今日だったので、一部国産、そのほかオージービーフのすき焼きが盛大に挙行されたのである。
 しかし、よく見て戴くと分かるのだけれど、殆ど刺しの少ない赤身の肉から構成されている。それはどういうことかというと、われわれ親の代が段々脂身を食べるとおなかをやられちゃうという症状が出るようになって来ちゃったからなのだ(飯の話でありながら何だけれど)。私は自分が胆嚢を取り出しちゃったからかと思っていたのだけれど、どうやら最近は連れ合いもあんまり強くないというのだ。
 戦後の育ちで肉をそれほど潤沢に食っていたわけではないけれど、それでも高度経済成長期に入ってからは少しは牛肉を食っていた私たちでこうなんだから、明治の御代に突然格好をつけて牛を喰った連中は一体どうだったのかと、そんなことを考えるのだけれど、そんなことを過去に書かれた文献から見つけ出すなんて研究はやりたくはない。
 豪州に暮らしていた時は市販のオージービーフを薄切りにして売ってくれる人が殆どいなくてすき焼きはなかなかできなかった。そのうち人づてにあるところの日本人のお肉やさんが薄切り肉を売っていると聞いて買いに行ったことがある。そのうち、韓国の食料品やさんが日本の肉屋においてあるような冷凍肉のスライサーを据え付けて、安くそんな肉を売るようになって、その界隈の日本人すき焼き環境が一変した。
 それで何かあるとみんなですき焼きパーティーをして集まった。ところがその頃のオージービーフですき焼きをやると、家中が臭くなった。どんな匂いかというと獣の匂いだった。そりゃ獣を食べちゃったのだからしょうがないような気がするけれど、日本でのすき焼きの匂いとは明らかに異なる。
 牧草で育った牛肉を使うとこんなに匂いが違うのだろうかと、不思議だった。日本に来ているオージービーフは一体どんな餌で育っているのだろうか。