年の頃でいったら多分50代の後半なんだろうけれど、若いのか歳をとっているのかよくわからない。頭は後頭部がもうツルツルなんだけれど、それ以外はボォボォとした長髪で、まるで髷を切られた由井正雪(この表現で若者には通じないだろうが)のようだ。それはブラッシングなんてしたことがないようなんだけれど、そうかといって、洗っていないわけじゃない。この時期に滅多に風呂に入っていないのだったら後ろを歩いただけで臭うはずなのに、それがない。だから、ホームレスではないはずだ。
穿いているズボンはもうツンツルテンなのだけれど、普通のウールの替えズボンじゃない。後ろから見ると、右の後ろのポケットはパッチポケットなのに、左の後ろのポケットは袋ポケットという実にユニークなものだ。良くこんなにツンツルテンに穿いていられると思ったら吊りバンドで吊っている。だから余計にツンツルテンなのだ。ホームレスではない証拠に、ズボンの裾から長めに見えているソックスが真っ白でちゃんと洗濯されたものだ。
ところが足取りは非常に苦しそうなのである。よいしょ、よいしょという雰囲気だし、多少引きずってもいるようだ。一瞥でその人のバックグラウンドがわからないと、結構悩む。