和菓子屋の息子が、何かをやる気もなく、いやいや和菓子屋を手伝っていたんだけれど、43歳になって親を裏切って豪州へ渡り、調べる気もなくやったこともない和食レストランで雇われてエセ和食調理人となる。数年後に残された親は歳をとって店を閉め、三年後に父親は他界、その数年後に母親が他界。しょうがなく、ケアンズの街中でも困難だというのに、なんとキュランダの観光客しか来ないようなところでどら焼きを焼く。
そんな男の話を一時間もかけてテレビは「ここにも日本人!」といって放送する。親の遺産を継ぐんだというのであれば、シドニーのチャッツウッドででもどら焼き専門店を出したら、必ず一定量以上は売れるはずだ。駐在員や、移住者がたくさんいるところなら、「うわっ!本物の焼きたてのどら焼きだ!」と喜ぶだろう。キュランダでは、日本人がきたとしたって観光客しか来ない。一週間日本を離れてもいないのに、どら焼きを食う奴なんぞいないって。
それでなくても西洋人はあんこを嫌いだ。気持ち悪いぞ、甘いマメ!といやがる。私がライスプディングを気持ち悪く思うのと一緒だ。チャイニーズなら餡子も好きだ。その点でもキュランダは間違っている。
つまり、彼は番組が勝手につけた「豪州でどら焼きを普及するという夢」なんぞおっちゃいない。彼は自分ができる技術で自分を説明づけて、キュランダで生きていく、ということを選択しているに過ぎない。
テレビ業界に蔓延している「日本人凄い大会」なんてこんなもんだ。彼を愚弄している。
今日の「YOUはなにしに日本へ」だって、今日の「剣武」ってなんだよ。外国人相手に「日本風」のエチゾシズムを売っているっていう集団ではないのか?だって、まるであの外国人たちがやっているのを見ていると武術というよりもダンスじゃないか。なんだかなぁ。