ほぼ足りてまだ欲 その先

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謝罪

 池江璃花子白血病発症で、あの桜田くんがまたしでかして大騒ぎになっていました。

「金メダル候補で、日本が本当に期待している選手なので、がっかりしている。早く治療に専念してがんばってもらいたい。また、元気な姿を見たい。1人リードする選手がいると、みんなつられて全体が盛り上がるので、その盛り上がりが若干、下火にならないか心配している」(Business Journal2019.02.13)

 「心配している」といえば良いのに「がっかりしている」というのにまずカチンときます。「また、元気な姿を見たい」から、頑張って治療に専念して下さい、だったら良かったのに、盛り上がりが下火にならないか心配だといっちゃった。盛り下がったら池江のせいだなといわんばかりに聞こえちゃう。余計なことをいった。
 で、13日になって国会で「突然の話にショックを受け、率直に残念と発言した。発言は配慮を欠いた。謝罪し、撤回する」「(下火発言は)池江選手が水泳界をリードし、他の選手の目標になる選手であることを述べたものだ」「治療を最優先で頑張ってほしい」と撤回した。追求した立憲民主党の寺田学が辞任しろとたたみかけたが、「今までの分も挽回できるよう、一生懸命務めたい」と読んでいた。

 自民党の連中は「謝罪」だと簡単にいって「撤回」するんだが、麻生太郎の「だったら謝罪」を見ても、彼らの心には誠意のかけらもない。これはひょっとすると日本人の習い性なのかも知れない。とかく「謝る」ということに関しては全くダメだ。悪いことをした、いったことを他人から追求されると、素直にごめんなさいということが出来ない。だから逆に相手が非を認めると徹底的に叩こうとする。それが国家間、民族間になっていくと簡単にヘイトになっていく。

 韓国の国会議長である文喜相(73)が2月7日に行われた米国のブルームバーグのインタビューで慰安婦問題について「一言でいいのだ。日本を代表する首相かあるいは、私としては間もなく退位される天皇が望ましいと思う。その方は戦争犯罪の主犯の息子ではないか。そのような方が一度おばあさんの手を握り、本当に申し訳なかったと一言いえば、すっかり解消されるだろう」と語った。

 文喜相は韓日議員連盟会長経験者である。この言葉に対して日本の論調は「何を無礼なことを云っているんだ!」というものが基本的な反応のようだ。安倍晋三は「本当に驚いた」「甚だしく不適切、極めて遺憾」と発言し韓国側に謝罪と撤回を求めた。河野太郎外相は「到底受け入れられるようなものでもないし、極めて無礼な発言」、菅官房長官「極めて不適切なものだ」。中には文喜相は日本の天皇の立場をきちんと理解しないで発言しているんだ、韓国の大統領と同じような立場として誤解しているんだといっている人もいるが、私はそうは思わない。彼は日本人にとっての天皇というものがどれほどのものであるかについてわかった上でいっていると思う。

 天皇日韓併合からこの方、常に朝鮮半島においても敬礼、皇居遙拝を強いられた存在だった。そういう日本の象徴たる存在が、かの植民地支配も含めて元慰安婦の女性にお声をかけたら、両国民は瞬時に氷解すると思うという意味で発言している。それでなくても、今上天皇はアジアの各地に出かけて戦争を謝罪してきた。彼は戦後の日本を代表して真摯にあの戦争に向き合ってきた。彼ほど真剣に向き合ってきた人がどれほど現政権の中にいるか、考えてみて欲しい。賠償で済んだんだから余計な要求をするなというスタンスは謝罪に相当するのだろうか。何度謝れば済むというのかという論調が流れる。何度謝ったんだって?数えてみなくちゃならん。

 日韓の民間関係は、上っ滑りな関係になってしまった。この表面的な瞬間湯沸かし器的投げ合いはよりよい関係を築くことがない。丹念にひとつひとつの誤解を解いていかなくてはならない。「誤解を与えたというんなら謝るが、基本的にはそんな気はねぇんだよ」というスタンスはどんな場合でも、ろくな関係を構築することは出来ない。