ほぼ足りてまだ欲 その先

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裁判二つ

 今日のニュースできっと大きく論議されているのは、東京都の韓国籍をもつ保健師さんの最高裁の判決と、桶川ストーカー事件の二審の控訴棄却判決だろう。

  • 管理職選考の受験拒否で最高裁大法廷

 東京都職員の保健師在日韓国人女性の鄭香均さん(54)が日本国籍でないことを理由に管理職選考の受験を拒まれたことに対して都に慰謝料を求めた訴訟。この事件についてはずいぶん前から聞いていた。今回の大法廷はもちろん裁判長はあの長官;町田顕*1氏である。今回のこの判決はいわゆる単純労働への外国人による就労の排除だけでなく*2、熟練労働からの排除となる可能性を含んでいる。FTA締結による諸外国からの技能職の導入は飽くまでも現場に置き、プロモートされることのない職場になる可能性を示唆しているということにもつながる。
 それにしても何故私の国はこれまでして鎖国を続ける必要があるのだろうか。反対に外国で活躍するこの国出身者については多くの場合賞賛を持って報じられる。しかし、諸外国籍を持つ人がこの国で活躍することは許さないということと(単純にも)考える。保健師という仕事にこれまで従事し、地域医療に尽力してきた人を管理職にしたらこの自治体を、この国をひっくり返されるとでも思っているということだろうか。入管の所長がいうには「未だわが国は諸外国から来られる人々を受け入れるだけの素地が完備されていない」のだそうだけれど、そんなもの、一体いつになったら完備されるの?いつまでもそういって座して待ったらいいかもな。ゆっくり取り残されることだ。その時には町田君の名前を今一度想い出そう。その時まで私が生きていれば。
 クルド人家族を見事に分断した手際の良さをも想い出す。

  • 桶川ストーカー事件と埼玉県警本部

「秋山寿延裁判長*3は、殺害について警察の責任を認めずに、それ以外の捜査怠慢の責任を一部認めて550万円の支払いを命じた一審・さいたま地裁の判断を支持し、両親と県、双方の控訴をそれぞれ棄却。高裁は(1)それまで身体的な加害行為はなかった(2)犯人たちの殺害の準備行為は外部から分からなかったーーなどの事情を挙げ、「署員3人が殺害の危険が切迫していると知ることは困難だった」と判断。」*4

 いきなり刃物を真っ昼間に突き立てることは予想ができなかった、ということである。だから、人をあやめようとする人は一気にやっちゃだめだぞ、と。ちょっと殴ったり、カミソリでスカート切る、なんてことをしてからにしろと。じゃないと警察は動かないと。
 つー事は現実的には人殺しはどんな前兆があろうと肉体的に「被害」を受けなくちゃ警察は動かなくて良い、とこの秋山君は決めたということである。こうなってしまうと、いくら退職した警察官の方にまたお出まし願って今はいつでも誰もいないのが当たり前になっている交番に人を張りつけたって関係ないね。
 昔、あるマンションに危ない方々人を騙(かた)って入居。警察に相談に行ったら、「誰か殴られちゃうといいんだけれどなぁ」といわれたという。全然変わっていないというか、それでよいと裁判所が認めたということである。
 仏壇の前で「申し訳ない」と深々と頭を下げた県警本部長はどうしておられるのでしょうか。ぜひ、記者会見をして頂きたい。あれだけさまざまな媒体で報じられ、家庭にそうした画面をさらしながら、民事訴訟の法廷で一転して主張できる鉄面皮は、一体どこで鍛えられたのですか。
 でも、こんなことをいったら、どこでどんなことをされるか分からないものなぁ。ないしろ元国家公安委員長を職質しちゃう時代だからなぁ。
 

*1:池添徳明氏(新聞記者出身、関東学院大非常勤講師)のサイト(http://www2.tky.3web.ne.jp/~norin/kaikaku-machida.html)から:1936年生まれ。1959年東大法卒と同時に司法修習生。ニックネーム:マチケン、かつては青法協のメンバーであったが、エリート裁判官の常として、裁判実務の経験よりも司法行政官としての経歴の方がはるかに長いそうである。最高裁判事に任命されるまでの39年間のうち、法廷で裁判に携わったのはわずか14年半で、18年間は司法行政。6年半は法案審査の業務という。若いころは「信念の人だった」といわれども、1970年に最高裁事務総局の圧力で青法協裁判官部会が殲滅されてから、彼は変わったという人がいるらしい。そういえば、「宮本判事任官拒否事件」なんていうものはもう忘れられてしまった。最高裁判事としては、「東電OL事件」では無罪判決の出たネパール人の勾留を認める多数意見に立つ。「参議院議員定数配分規定無効訴訟」の判決(大法廷)でも、選挙無効請求棄却の多数意見。「大分人勧スト訴訟」では処分された教職員組合員百三十七人の上告を棄却し、「名張毒ブドウ酒事件」の第六次再審請求では特別抗告の棄却を決定。

*2:現在就労している外国人労働者は例外として扱われているか不法滞在である

*3:従軍慰安婦問題に関する特集番組の改編をめぐり、取材に協力した女性団体がNHKなどに損害賠償を求めた訴訟の控訴審」も担当してるのかぁ・・。こちらの口頭弁論は次回4月25日。「神奈川県警戸部署誤射訴訟」(取り調べ中の男性(当時55)が拳銃で死亡した事件)も担当。東京高裁ストックオプション訴訟もこの人。

*4: Asahi,com(05/01/26 20:32)