ほぼ足りてまだ欲 その先

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 朝日新聞が27日に報じたところによると、元将校らが立ち上げた「追悼碑を守る会」と、陸軍士官学校や防衛大のOBで作る「近畿偕行会」が共催して今年4月に高野山真言宗奥の院和歌山県高野町)にある「昭和殉難者法務死追悼碑」の法要に安倍晋三自由民主党総裁がメッセージを贈っていたという。この法要は1994年から続けられているんだそうだ。A級、BC級戦犯として処刑された元日本軍人の追悼法要である。
 メッセージの全文は公開されていないのかもしれないが、朝日新聞が報じるところでは司会者が読み上げたそうだ。
 「今日の平和と繁栄のため、自らの魂を賭して祖国の礎となられた昭和殉職者の御霊に謹んで哀悼の誠を捧げる」とし、「今後とも恒久平和を願い、人類共生の未来を切り開いていくことをお誓い申し上げる」としたという。
 これは実は大変に重要なことを含んでいる。ここでいっている昭和殉職者が戦犯として判決を受けた将兵であるという点にある。私は見たことがないけれど、この追悼碑には連合国による戦犯処罰を「歴史上世界に例を見ない過酷で報復的裁判」だと記してあるという点もこれまで良く問題にならなかったと驚く。というのはポツダム宣言を受諾したということがその裁判を容認するということになっているわけだし、サンフランシスコ講和条約ではあの裁判を認めた上での条約調印で、これはそれを反故にしていることになるからだ。
 管官房長官は「自民党総裁名なので、内閣総理大臣ではなく、私人としてのメッセージだ。政府としてのコメントは控えたい」といったらしい。見事な使い分けで国民を欺いている。
 私はA級戦犯の面々が今日の平和と繁栄のための礎になったとはとても思えない。彼らが大失敗をして、多くの国民、そして周辺諸国、敵対した諸国の国民を殺した結果として、これが間違いだったということを認識することができたという点では確かに貢献したということになるのかもしれないが、それはとことん人間性を失った結果であり、それを顕彰の意味を持って賛美する男が国のリーダーであってはならないと確信する。