ほぼ足りてまだ欲 その先

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新宿

 保阪正康の話を聴きに行く。ここでは昭和史にこだわらずに時々の時局に関する保阪の言葉を聞くことができる。とはいえ、昨今は安倍晋三についての話が多いのだけれど。
 佐藤栄作が絡んだ造船疑獄という事件があった。今ではもう知る人も少ないだろうけれど、当時は海運整備の為に、国庫から補助金が出て、輸送船団を整備した。これを計画造船というのだけれど、その補助金金利軽減のための「外航船建造利子補給法」制定請願をめぐって贈収賄事件が起きた。結果国会議員数名が逮捕された。自由党幹事長であった佐藤栄作収賄容疑により逮捕せんとする検察に対し、時の犬養健法務大臣は重要法案(防衛庁設置法と自衛隊法)の審議中を理由に検察庁法第14条による指揮権を発動し、佐藤藤佐検事総長に逮捕中止と任意捜査を指示し、直後に大臣を辞任した。
 保阪は今回の佐川宣寿元財務局長・前国税庁長官の国会証人喚問を前にして、かの犬養健を引き合いに出した。多分佐川は「捜査に支障を来す可能性があるので、答えられない」を連発するだろう。そしてそれによってその場はなんとか、逃げおおせることができるだろう。しかし、その後、佐川宣寿本人のみならず、家族も遠縁のものもそこから先永遠に続く汚名、もしくは語られ方に苦しむことになるというのだ。それに彼もしくは家族、親戚が耐えられるだろうかという。
 時の法務大臣だった犬養健はかの犬養毅の三男である。もともと小説家だった健は政界に転じて、吉田茂に引き立てられて法務大臣を拝命した。しかし、この一件で政治生命は絶たれた。佐川宜寿もこれで官僚生命は終わる。この後の天下りはどうなるだろうか。行く先々で「あの」佐川といわれ続けることになるだろう。
 ちなみに犬養健の長女が犬養道子で、愛人、荻野昌子の娘が奥田瑛二の妻である安藤和津である。
「指揮権発動により法務・検察幹部を軒並み引責辞任させ、意中の男を検事総長に据えようという某政治家と検察幹部の思惑があった」とする犬養健の手記が『文藝春秋』1960年5月号に掲載されたとウィッキペディアに書いてある。どこかで探したい。
 人のことはいえないけれど、お爺さん、お婆さんはどうしてコロッと寝てしまうんだろう。寄席でもよく見るんだけれど。