ほぼ足りてまだ欲 その先

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「き」

強制収容所


f:id:nsw2072:20220220001855j:plain:w360:left 日本に祖先を持つ米国人、通常はこれを日系米国人と称するけれど、米国が日米戦争、つまり太平洋戦争中に西海岸沿いに住む彼等、おおよそ12万人を強制収容する大統領令、9066が発令されてから、この2月19日で丁度80年になった。彼等はあくまでも米国人でありながら有刺鉄線で囲まれた区域に送り込まれた。混同されやすいのは、この時、日本人も一緒に強制収容された。つまり、米国政府は、日本人も日系米国人も一緒くたにしたということである。これは今の日本政府の考え方とも共通する。日本は国籍を血縁主義を取っているので、何年日本に住んでいようと日本で生まれようと、外国人は外国人として認識する。米国は出生地主義を取っているので、いくら親が外国人でも、米国内において誕生すれば、米国籍と認識する。これは良く知られている。

 この差があるので、この時の日本人及び日系米国人を一緒くたにして強制収容したことについての理不尽さ、人権的な問題に日本人はなかなか理解が及ばない。それだけではなくて、当時の日本国内における日本人の暮らしと、強制収容所内に収容された彼等の生活とを比較して、敗戦直後の日本人にはその暮らしの苦しさはなかなか想像できなかった。

 戦争末期の日本では、多くの人たちが暮らしていた都会は徹底的な空襲で明日をも知れぬ日々だったのに、強制収容所とはいえ、命の危険が及んだわけではないではないかと思った人は多かっただろう。そこに決定的な齟齬があったように思う。だから、ドナルド・リーガンが大統領の時、1980年に、米国政府が当時の収容者にひとり2万ドルを補償するとなった時に、多くの日本人は驚いたのではないだろうか。なにしろリーガンは共和党の大統領である。それが抑留日系人補償法(Japanese-American Reparation Act)にサインしたのだ。このバックグラウンドにはJACL(Japanese American Citizens League)の働きかけが多いに寄与している。

 人間は非常に愚かであって、何度でも過ちを犯す。知らずに犯す過ちもあるけれど、意識して犯す過ちもとても多い。自分たちが優位にあると過信、もしくは勘違いをすると、他を圧倒する行為を平気で犯す。そういうバカはどこにでもいて、感情にまかせてバカを露呈する。あるいは大声に負けてバカに蹂躙されてしまう。
 プーチン習近平を見ていたらそれはよくわかる。自らの立場を優位に持っていこうとする時に、人はもう既にバカになってしまう。そんなことを思い出す記念日でもある。