ほぼ足りてまだ欲 その先

「ほぼ足りてまだ欲」がはてなダイヤリーの廃止にともないこちらに移りました。

宮内庁

 そりゃ元はといえば京都におられたんですから、天皇さんの宮内庁が京都にたくさんの土地をお持ちなのは当然でしょうが、一体全体どれ程の土地をお持ちなんでしょうねぇ。
 今日は修学院離宮近くにある四ヶ所を訪問。赤山禅院、曼珠院門跡、圓光寺詩仙堂でございますが、四ヶ所すべて異なる雰囲気で面白うございました。ところがこのあたりは修学院離宮だけでなくて、あっちの森もこっちの畑も、あれもこれもやたらと「関係者以外の立ち入りを禁じます。宮内庁皇宮警察」と書かれております。大変に広い面積でございますよ。こんなにお持ちなんでしたら、この際、東京なんてごみごみしたところにおられるのはお止めになって、皆さんで京都にお帰りになられたらいいんじゃないかという気がいたしますよ。京都の皆さんもそれはそれはお喜びになるに相違ありませんし、東京のど真ん中を国民の公園にして頂いたら、あっちもこっちも万々歳ではございませぬか。
 こんなことを申し上げると、どこかからいろいろなものが飛んでくるような気がしないではありませんけれど、それが一番の考えではないでしょうか。
 さて、どうやら京都も高齢者は(なんらかの対価をお払いになっているのかもしれませんけれど)それ用のパスを持っておいでのようで、バスにお乗りになるのにも、整理券をお取りになるわけでもなく、プリペイドカードを差し込むのでもなく、ICカードを読み取らせるわけでもないので、最初は不思議だなぁと思っておりました。
 まず最初は天台宗赤山禅院です。修学院離宮道の停留所でバスを降り、細い住宅の中に踏み入るような道を辿ります。赤山大明神の石の鳥居をくぐり、次に赤山禅寺の山門をくぐるという複雑な状況になります。境内には福禄寿を祀ったお社があって、都七福神の一つとされているものですから、七福神巡りのバスで来られた一行がたくさんおられました。この方々がお帰りになると、ひっそりとして、落ち着きます。羅漢さんがおられる一角が楽しめました。
 ご拝殿の屋根には金網の中に入った猿の彫り物が載っています。な、なんだ、これ!?と思うのですが、「表鬼門を守護するしるしとして、赤山禅院の拝殿の屋根には、鬼門除けの猿が置かれています。猿(申)は、鬼門とは反対の方角である西南西を指すことから、邪気を払う力があるとされます。金網の中にいるのは、かつて夜になると暴れだし、いたずらを繰り返したため閉じこめたのだと言われています」と説明されております。そうか、方角としての申はそんな方向にあるのかと、納得いたします。そういえば一昨日に立ち寄らせていただいた日吉大社の神様のお使いが神猿でございましたね。
 次は天台宗の曼珠院門跡でございます。いく先々に道標が出ていますから著名なお寺さんでございましょう。入るや否や「写真撮影禁止」が目に入りましたので、全くカメラを開けませんでしたけれど、帰り際によく見たら、庭はさにあらず、ということだったようで、これはまたずいぶん惜しいことをいたしました。なかなか良いお庭だったんでございます。こちらは何たって門跡というくらいでございますから、皇室の皆様ご来臨されたことが写真や記念植樹でわかります。国宝の黄不動は京都博物館に寄託されてしまっていて、ここで見られるのはレプリカでございます。
 瑞巌山圓光寺までやってきますと、ほとんどお参りの方がおられません。こちらは臨済宗南禅寺派でございます。ここはもうどこでも写真に撮ってちょうだい!の姿で、挙げ句の果てに、到着したら、拝観料を徴収される小屋の中におられたおっさんは携帯電話で話をしながらこちらが差し出した千円札を受け取る始末。たったこれっぱかりのことで、もうこのお寺さんの霊験なんぞ感じもせず、なんだか生臭な寺だなぁと思ってしまうという短絡でございます。毎週日曜日には座禅の会が開かれているようでございます。石畳にわざわざハートをはめ込んであったり、新しい枯山水ができていたり、「受ける寺」へ邁進している様子が伺えます。
 本日、一番気に入ったのが詩仙堂。江戸時代初期の文人石川丈山の山荘跡と聞いて、アァなるほど、そういうことかと納得しますが、今は曹洞宗の寺院で丈山寺と呼ばれているんだそうです。お庭を見せていただいていますと、隣に座った西洋人のカップルがまるでヨガのようにあぐらをかいて胸を畳につけたりしております。変わったことをするなぁこの人たち!と思わず眺めてしまいました。ところが私たちが庭に降りるべく玄関に回ると、彼らも降りてきました。女性が履物をつけようとしていると、それが靴ではなくて、ズックのようなのに、後ろが鞐(こはぜ)になっています。お〜、こんなものを新京極の商店街で見たなぁと「格好いいですねぇ〜!」といったら、男性が「だから、買いました」とまことに流暢な日本語です。いや、これは普通の日本語じゃない、相当レベルの高い日本語です。ウィーンの国立歌劇場のバックステージ・ツアーのガイドをしてくれた女性のような、きちんとアカデミックなところで習った日本語です。庭の池でまた遭遇したので、どちらから?とお伺いしたらL.A.だというのですが、これは普通のアメリカ人ではありませぬ。ついうっかり外国人が日本で嫌になるという戸籍調べ質問を発してしまいました。
 こちらのお庭は本当に心を込めていると思われるお庭で、若い女性に人気があるのがよくわかります。
 ここを出たところでもうほぼ2時でございます。坂道を白川の通りに向かって下りていきますと、一乗寺中谷という和菓子も西洋菓子も手掛けてしまうお菓子屋さんを覗いたら、でっち羊羹もあって、ついうっかり双鳩堂かと思ってしまいましたが、ここに白味噌のお雑煮にお赤飯、ひじきの煮物(たいたんとかいうのかね)、昆布の佃煮のセットがあって、慌ててこれを食す。白味噌仕立てなんぞおおよそ食べる機会はないだろう。
 そのまま5番のバスで河原町三条まで帰ってきて、堀川を越えた先の三条商店街を目指す。1.9km歩いて往復する。何しに行ったのかといったら、トミヤ帽子店である。京都に来たら確実にこの帽子屋を訪ねる。種類の多さの上に、そのほとんどが私の好みに応えてくれてきた。今年は初めてキャスケットがありますかとお尋ねしたら、それほどないのだけれど、といいながら一つ好みのものを発見。連れ合いは半額セールの中から一つ。
 今日はほぼ2万歩を費やした。