ほぼ足りてまだ欲 その先

「ほぼ足りてまだ欲」がはてなダイヤリーの廃止にともないこちらに移りました。

ルールにないルール

 MLBのルールには書いてないけれど、通常それをやっちゃぁおしまいよ!という暗黙のルールみたいなものがある。例えば、大量リードしているチームのバッターがセイフティ・バントなんぞやろうもんなら、卑怯者、男らしくない狡猾な奴、というブーイングを浴びることになる。もちろん競っている試合だったら、そんなことは誰もいわない。極端な守備シフトを敷くのは今や当たり前になっている。当然ハーフスウィングをして反対側に打てば単打にはなる可能性が高い。で、ゆったりとリードしている側がこれをやったら、たぶん「あぁ、そうかよ、わかったよ、お前らはそういう奴なんだな」という冷たい視線を浴びる。思いっきり引っ張って、密になっている守備の間を痛烈に引き裂いたヒットを打ったら「すげぇ!」と尊敬のまなざしを浴びる栄誉に浴する。なんだよ、競技なんだからなにをやろうと勝てば良いんじゃねぇのか、という奴は「MAN」じゃない。
 昨日のSan Diego PadresのTatis Jr.が8回の表、10-3で大量リードの一死満塁の場面で打席に立った。カウントが3-0、つまりもう一球ボールを投げたら押し出しの四球だ。投手が投じた「必ずストライクになる」球を右中間に打ち返し、満塁ホームランとなった。これで14-3である。問題はここまで大量リードしてる状況で、これ以上に点を取りに行く必要が果たしてあるのかということになる。へんじゃねぇか、この状況で「どうぞ撃って下さい」といわんばかりの球を投げた奴が悪いんだ、というのがごく普通の反応なんだろう。ところがMLBではそうはならない。「なんちゅう極悪非道な奴だ、血も涙もないっていうのか!男らしくねぇな!」ということになる。これが面白いところかも知れない。武士道かよ。峰打ちにしろよ、ってな展開。
 今日の各メディアでは大騒ぎ。「まぁ、あいつも21歳という若者だから、これでなにか学んだんじゃないかと思うよ」てなコメントが出ていたり、相手チームの監督は「僕はこういうのは好きじゃなかったけどねぇ」なんていったりしている。「彼は撃つべきではなかったのか?それとも・・・」という記事で溢れている。
 これでTatis Jrはこの日二本のホームラン、7打点、11本目のホームランで、トラウトに差をつけた。
 
 やっぱり田中君は、頭にボールが当たってから、なにか、落ちちゃったのかなぁ。