ほぼ足りてまだ欲 その先

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談合絡み

 昨日に引き続き朝日新聞の引用で恐縮だけれども、これは別に朝日新聞に肩入れしているわけではなくて、本件に関する記事で、Googleに引っかかってきたもののうち最も詳しい内容だったからである。

日立造船に4892万円の賠償命令 ごみ焼却炉建設談合 2006年09月28日20時57分
 新潟県の旧豊栄市聖籠町でつくる豊栄郷清掃施設処理組合発注のごみ焼却炉建設工事をめぐり、談合で不当に価格がつり上げられたとして、新潟市オンブズマンが、工事を受注した日立造船大阪市)に、約2億5000万円を組合に支払うよう求めた住民訴訟の判決が28日、新潟地裁であった。山崎まさよ裁判長は、談合による損害を認定し、日立造船に4892万円の支払いを命じた。組合が、日立造船に対して損害賠償の請求をしないのは違法だとの訴えも認めた。
 判決によると、同社は95年1月、三菱重工業、タクマの3社が参加した同組合のごみ焼却炉の入札で談合。3回の入札が不調に終わったため、組合は24億8000万円の予定価格に対し、最低価格を提示した日立造船と24億7000万円で随意契約を結んだ。
 山崎裁判長は、同社などが参加し、受注予定者を決める会合が遅くとも94年から98年まであったと認定。業者側関係者の証言や、不調に終わった3回の入札状況などから談合があったと認めた。損害額は最低入札金額(26億2650万円)の5%と認定。そのうち随意契約時に日立造船が値引きした8240万円は除いた。
 判決について日立造船は、「判決を見ていないのでコメントできない」としている。
 公正取引委員会は99年、全国の自治体発注の焼却炉工事の入札で、当時の日本鋼管川崎重工業を含む5社の談合が94〜98年度に60件あったとして排除勧告を出した。

この金額なんだからこの焼却工場は少なくとも全連タイプではない、準連のプラントだろうということはできそうだ。
損害額を最低入札金額の5%と認定した根拠が述べられていないので、数字の上では納得ができないのだけれども、少なくとも地裁は本件に関する談合が明確に存在したのだ、という見解である。公取が既に60件について排除勧告を1999年に出していたことがこれだけの時間が経って実証されつつあるわけだ。しかし、本件に関する原告のオンブズマンが訴えてきたように、当の発注者側が何も行動を起こさない、ということも問題であるということがはっきりした。
 随分前にこうした談合に関する記事が書かれ、警察が動いても結局不起訴になったりしてどうせ潰れてしまうのがこれまでの歴史であり、下水道や、ゴミ焼きについてもうやむやになってまた終わるんだろうという憶測を書いたことがある。しかし、どうやら時代は本気になって動いてきているような気がしてきた。それは地道にこうして活動をしてきている市民レベルの動きがあるからと云うことなんだろう。
 この談合のような非常にわかりやすい、世の中を謀(たばか)っているというか、馬鹿にしているというのか、単純な方法が綿々と続けられてきた。みんなが予定価格を上回る価格を入れるという状況を一度ならず二度以上繰り返す。つまり、このプロジェクトはどうしたってこの位の金額はかかるんですぜ、というポーズを作ったつもりである。そして、次のやり直し入札では、その時のチャンピオンだけが予定価格をほんのわずかに下回る金額を入れ、他社は絶対に予定価格を下回らない金額を入れる。
 このシステムを維持するためには予定価格がつまびらかとなっていなくては成り立たない。それを明らかにする人間が必ず居なくてはならない。そして、次のプロジェクトをどこが落とすのかという重要なことを決めるのには同業者間での話し合いをしたって決め手がない。俺はこのプロジェクトをこぉ〜んな昔からこんなに手間暇をかけて育ててきたんだ、だから俺がこれは取ると云ったって、同業者間では決着がつかなかったりする。そこで天の声が必要になる。今度の福嶋の一件では県知事の弟がこれをやってのかと見える。「〜詣」という言葉は良く聞く言葉だ。
 ゴミ焼きについては大手5社というのが存在していた。タクマ以外は自社開発技術が基本にはなっていなくて1970年代に欧州から手に入れた技術のライセンシーであった。それでも日本の国内で爆発的に普及したから、家元の実績を出先が凌駕するというのが実態だった。この分野は自治体側に詳しいノウハウがないという点が致命的な談合草刈場となった要因だろう。しょっちゅうこんなプラントを発注するなんてところは大都市しかないわけで、それも一巡するとその寿命を終えた代換え期がやってくるまで仕事は発生しない。それでも自治体は少しでも第三者によって公正な判断が下されて発注したという形を作るために、学識経験者の力を借りる。しかし、この分野の技術的な研究をする研究者なんてそんなにゾロゾロ居るわけじゃない。結果的には企業側が提供する資料に基づいて、その先生が「あぁ、これでいいんじゃないですか」と評価を下す。つまり、第三者機関なんてものは存在しないから、余計にこうした草刈場になりやすい。これが「必要悪」なんだと居直る理由になる。こうしたシステムを本当になくそうとしたら、本件も含めて当時の責任者の責任を明確にするために実名を公開し、賠償責任を果たして貰う、ということをしないとなくならないだろう。いや、こうしてもなくならないかもしれない。あれだけ成功率が低くて、刑事罰が高いにもかかわらず誘拐がなくならないように。抑止効果は与える罰をとんでもなく大きなものにしてやるしかないのか。今は考えがまとまらない・・・、いつもか?