ほぼ足りてまだ欲 その先

「ほぼ足りてまだ欲」がはてなダイヤリーの廃止にともないこちらに移りました。

パシコン

 パシフィック・コンサルタントの海外における裏金献金(つまり袖の下)が問題になっている。荒木民生元会長が特別背任だったかなんかで捕まった。どういうことかというとODAの事業を受注するために、現地の有力者に袖の下(under the table)を渡してきたということだ。「そうしたことをやらなきゃ受注できませんよ」とテレビに対して答えていた。本音だろう。
 アジア諸国もそうだし、アフリカ諸国ももっとそうだけれど、こうした金を積まずに受注できるケースというものが本当にあるんだろうかと、その実態はもうどろどろだ。だけど、こういうことになるからできるだけ大企業はこうした実行行為には手を染めたがらない、当たり前だけれど。だからこそこういう場面に暗躍する便利屋が必要で、そこに美味しい話がある。そういう役割を果たすために代理店と称する人を動かす。彼らの収入は「成功報酬」だからその筋を巧く動かして受注に結びつかなかったら彼らは経費も受け取れない。しかし、成功すればあっ!と驚く金を手にする。その為には代理店契約を結ぶという方法があるけれど、それでは驚くほどの金額は動かせない。
 かつて日本の外務省はODAの多くをタイド・ローン(ひも付き)といって、入札資格を国内企業に限定する方式でやっていて、供与しても結局自国に金を持ち帰るということじゃないかと評判悪く、じゃあ、といって大半がアンタイド・ローン(日本企業に限らない)になった。その時期欧州の企業は「それ見ろ」と乗り込んできて片っ端から欧州に持って行っちゃった。つまりタイドにしようとアンタイドにしようと現地に金は残らない。現地ポーションを限定しても様々なことを考える。
 現地政府が自分で考え出して申請を日本政府の在外公館にするのが筋だけれど、そんなことをしていたらいつまで経っても美味しいプロジェクトは始まらない。だから自ら現地に乗り込んで、代理店を介して現地有力者に繋がり、「こんなことなら日本政府は本当に金を出しますぜ」といって手を取り、足を取り指導して在外日本政府公館に申請を出させる。かたやそっちにも挨拶ちょいちょいしておいて、それが出てきたら本国外務省に速やかにまわして貰う様にお願いをしておく。その為には誰の手が必要かといえば、勿論元外務省官僚だった退職者の顔なんである。ま、平たくいうとこれを「天下り」というが、この仕事はこういう経歴を持った人にしかできない・・・ま、他の言葉を使うと「癒着」というのかな。
 こういう場合、外務省レベルでODA予算がそのプロジェクトに付いた時、他の企業がこれを横からきてかっさらっていっちゃったら、もう眼も当てられない。そこはうまいことできていて他の企業は「道義的に」そういうことはしないということになっている。その為の連絡機関としてある種の団体が機能している。
 これでパシコンはしばらく動けないだろう。他の企業も動けなくなるのかも知れない。日本の海外プラント業界はこれからどうするつもりだろうか。現職の諸兄はどうされるのだろうか。撤退するしかないのか。いわゆるエンジニアリング御三家や商社はどうなっているんだろう。
 フィリッピンの宮殿に暮らしていたマルコスなんかはとてつもない額をテーブルの下から集めまくっていたといわれていたもんだったなぁ。賠償プロジェクトに参画していた企業も結構美味しかったんだろうなぁ。