ほぼ足りてまだ欲 その先

「ほぼ足りてまだ欲」がはてなダイヤリーの廃止にともないこちらに移りました。

噂の蕎麦、あいや、蕎麦の噂

 わが家の近辺では何軒かの蕎麦屋があるのだけれど、先日若い歯医者先生が「大三は行った?」と聞くのである。いやいや、先生、それがね、私が行くとどうも休みなんですよ、といったけれど、それが何曜日だったのか判然としない。どうも近辺の休みの主流は水曜日なんだけれど、金曜日にも閉まっていた、いやいや、あれは木曜日だったかなぁと、はっきりしないんである。
 今日は天気予報がいうように暖かくなった割には結露がひどいなぁと窓を開けながら、そうだちょっと行ってみようと。行ってみて分かったのは、原則水曜日が休みなんだけれど、その上、月に2回は木曜日にも休むというのが正解だった。
 かなり昔からあるお店のようで、がらっと開けると天井が妙に高い。気持ちが良いのだけれど、予期していなかったから妙だ。入り口が千束通りに面している方から入ったのだけれど、横丁に面している方が正面入り口のようで、がらっと開けたところに男女が向かい合わせで座っていて、気まずい。
 「千束田甫 大三」という大きな板看板が壁に掛かっている。お客さんは殆ど近所の人のようだけれど、この店の名前を聞いてやってきた私のような客ももちろんいる。ここの特徴は蕎麦屋なのにビール・酒の類を置いてないというところだろうか。
 お店を切り盛りしているのは三人のおばさん(う〜ん、もうおばあさんといっても良いかなぁ)である。天ざるをお願いしてみていると、あとから入ってきた働き盛りの男二人の注文は天丼と盛り二枚ずつなんである。いくら何でも凄い注文するなぁと思っていたら私の天ざるを見て納得した。まぁ、私だったらこんなもんだろうけれど、彼等には満足できないんだろうとは思う。
 なによりも意外だったのは付け汁が温かいのだ。三つ葉と柚子が浮いている。それだのに、葱とわさびの薬味が来ちゃう。天ぷらは海老が二本と獅子唐に茗荷と来た。そばは更科で旨い。
 さっきから駄弁っていたおばさん二人が帰る時に「ごっそうさん」といって払おうとしない。店のおばさんが「はいはい、かしらから戴いていますよ」という。店の中には三番の団扇が何本も刺さっていた。