ほぼ足りてまだ欲 その先

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吉田所長入院

 一民間企業の工場長が体調を崩して入院したなんてことは、本来なら誰もニュースにもしないし、記者会見で公表したりすることではないなんて誰もが知っている。
 東京電力福島第一原子力発電所吉田昌郎所長(56)が入院し、人事異動となった件を東京電力は記者会見で明らかにした。人事異動そのものについては上場企業は広報として発表するからなんということもない。しかし、この件は非常に大きな意味を持つ。
 吉田昌郎氏は3.11の事故、事件発生以来現地の所長を務めてきたし、かなり突っ込んだ状況説明を東電本社の意向とは別に行ってきた人である。
 現地にいる人間の中ではこれまで多くの関係者が現場を離れているといわれているし、当初の従事者のうち何人もがその後どんな状況にいるのか掴めないままで推移している。今朝の文化放送での武田鉄矢がスリーマイルも今度の福島も原発事故で死んでいる人はいないし、他のタイプの事故に較べたらチェルノブイリの事故だって死者の数が多いとはいえないといった意味の発言をしていた。
 しかし、実際に今度の事故で原発由来の事由によって死んだ人がいないかどうかは東電以外は知らないはずだ。それに問題は死んだかどうかではなくて、放射能による被害というものは人間の細胞を長きにわたって破壊していくということにある。ひょっとすると東電は福島第一原発の中で3.11以来死んだ人間についてまだ隠している可能性だって排除できない。
 被爆によって起きる可能性があるかも知れない障害について、福島第一にちょっとでも関係した人間については憂慮し続けて行かなくてはいけないのは、これまでの歴史を知るものにとっては当然のことだろう。それを「個人のプライバシーである」として開示を拒むのは事故を引き起こし、それを隠蔽し続けるという事件を引き起こし続ける当事者としては許し難い行動である。
 少なくとも、放射能被爆による影響について考えられる事態があるかどうかについてだけでも言及するべき責務がある。
 東京電力は本当にこのまま政府と一緒になってこの事故・事件をこのままのやり方で終わらせるつもりになっているのかも知れない。