ほぼ足りてまだ欲 その先

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NHK「樹木希林を生きる」

 偶然、夕飯を食ってから、梨をむいて、食べていたら、NHK樹木希林の密着番組が始まった。密着取材をしたいといっていたらしいが全然引き受けてはもらえなかったのだけれど、昨年の夏に樹木希林の方から取材を受けても良いといいだして実現したんだといっていた。なんとガンが転移しているとわかっていて、75歳にして4本もの映画の撮影を引き受けていたんだそうで、その忙しさに舌を巻いたが、もっと驚いたのは、その状況で、トヨタの2000年に発売されたトヨタ・オリジン「JCG17」に落ち葉マークをつけて運転していたことだ。700万円するかつてのクラウンのフロント・グリルで扉はなんと例の観音開きだ。なんで、こんな状況にいる人が自分で車を運転するんだろう。彼女は確か片方が義眼だと聞いていた。こんな状況にいる人だったら、タクシーを使えば良いし、もしくは自家用車でも運転してくれる人を雇えば良いじゃないか。撮影現場は何時に終わるかわからないだろうし、草臥れちゃうだろうし。その辺が全然理解できない。75歳のガンが全身に転移している状況で颯爽と運転していた。
 
 この番組を見た人は、彼女は相当にしっかりしているというか、自立している人なんだなぁという認識を新たにしたことだろう。余計な治療はしない、自分の身体が今どういう状況にあるのかを実に冷静に捉えていて、それでいながらバンバン仕事に取り組んでいく。それも片手間に取り組んでいるだけじゃなくて、全意識をしっかり働かせながら最後まで生きてきたように見える。それは見ている側の勝手な理解でしかないだろうが。やっぱり凄い人は凄いんだなぁ。あの豪勢な家で、静謐に暮らしていたようだけれど、まさか、誰ひとり手伝いがいなかったわけではないだろうなぁ。

 しかし、立川談志にしても、日野原重明先生にしても、NHKが密着取材を始めると、死期が近いかも知れないと思うようになってきてしまうんだよなぁ。それはテレビ側の思惑、つまり、多分視聴者が見たくなるであろうという傾向を先取りする、ということになるのだろうか。