ほぼ足りてまだ欲 その先

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管理委託

 集合住宅の委託管理先を当初の会社から変更したのは8年前のことだ。これは結構エネルギーを要する。どうしてそれが実現したのかというと、誰が見つけてきたのか知らないが、コンサルタントを起用したからだ。そのコンサルタントは、一括総合委託管理契約を細分化して評価し、それを管理組合に提示。それまでの委託管理費と、新しい管理契約金額との差額を成功報酬というかたちで支払った。
 それまでの管理会社は、この住宅を販売した大手自動車メーカーの子会社が作った管理会社だった。これが絵に描いたようないい加減な管理会社で、通常新規物件はすぐさま管理費、修繕計画、修繕管理費は販売時に良く見せるために低額に無理設定されていて、それを見直さなくてはならないのだけれど、それを拒否して、やらなかった。修繕委員会ができて、緻密にやってみたら、やっぱりとても積立金が足りず、結果として積立金をスライド値上げしていくことになった。
 その頃からこの管理会社ではらちがあかないと思っていたが、9年前の理事会の人たちがこのコンサルタントを見つけてきて、管理委託先を変更することを前提に検討をしてくれた。結果として、ジェネコンの子会社であが選定され、それまでの委託管理費が年間1,400万円から890万円に減額された。
 当時から4年前まで担当したフロントはベテランで、毎月の理事会でも、適切な助言を出して、総会も巧く運営してくれていた。3年前に私が理事会に参画した頃、この担当者から入社3年目という若手に担当が変わった。なんでよりによってこの年なんだよ、と思った。この頃、管理会社が長期修繕計画に大規模修繕が計画されているので、こんな見積もりですと提示してきた。いやいや、ちょっと待ってよ、計画されているからやるんじゃなくて、必要かどうかを確かめてからにしようよ、ということで修繕委員会を再開させた。それで、今すぐやらなくてはならない問題点はないという結論を得て、延期している。彼らにそのまま発注していたら、やらなくても良い工事までやることになった可能性はある。この時点で、彼らはこの集合住宅は面倒だなぁと思ったのではないかという気がする。

 それでも交代したこの若手が驚くほど有能な若手で、業界に入ってその程度のキャリアしかないのに、理事会でのアドヴァイスも、頼んだことに対するリアクションも早くて適切で、これは良い人が来てくれたなぁと思っていたら、なんとたったの数ヶ月で移動。どこへ移動するんだと聞いたら、オフィスビル管理だという。おかしいなぁと思ったら、この頃から管理会社は業務の中で全くのマイナーでしかないマンション管理からの撤退にシフトを切ったということだったのだ。

 今回の値上げ提案は事務委託管理費を3倍以上にするという提案で、思わず印刷ミスじゃないかと思ったくらいだ。誰かが質問していたように、商業ベースでこんな値上げ提案をする業界なんて聴いたことがない。他の案件との相違点をあげて値上げを正当化しようとするのだけれど、その相違点というのは今わかった点ではない。では、なんで当時、それを黙って受注したんだという話になる。

 そのくらい沸騰した質問に対して、管理先の説明はまるで国会の答弁のようで、大手管理会社に比べたら引き受けている物件が少なく、この地域では実績がなかったからという観点で受注したという説明で、じゃ、興味がなくなったから放り出しますといっているようなことになる。

 コンサルタントが「もうやりたくないという業者を引き留めても意味がない」と言い切って、来年途中までの暫定管理に切り替え、次の委託先を探そうという。

 これだけ多くの集合住宅がどんどん建てられていて、それぞれが業界には素人である住民が集まって自主管理をする。それだけに様々に問題が出る。多くの場合は販売会社の子会社である管理会社が担当していて、いわれるがままに管理委託をしている。それはまったく面倒がないが、金もいわれるがままである。
 この辺が今しきりに管理組合についての自主的な集まりが評判になり、それをプロとして支援するコンサルタントが活躍するようになりつつある。しかし、例えば大規模修繕でも、コンサルタントが入っている物件は儲からないから手を付けないと公言しているところもある。そりゃそうで、発注する方はできるだけ支出を抑えようと工夫をするが、黙って発注する管理組合もたくさんあるから、なにもハードネゴで仕事をとらなくても、そっちだけでやれば良いやと思う。

 今やマンション管理専門の弁護士もいる。そういう人はマンション管理士の資格も同時に持っていて、顧問弁護士として有料契約をして活躍している。

 建設省、今では国土交通省になってしまっているけれど、は管理組合と管理委託会社の関係について、住民本位な窓口を持っていない。ここでも企業の方が有利に働いている。金さえ出せば悪いことにはしませんぜ、旦那!の世界であることは変わらない。

 あのコンサルタントはいっていることは理解できるんだけれど、業者側との関係はどうなんだろう。