ほぼ足りてまだ欲 その先

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歌舞伎鑑賞教室

f:id:nsw2072:20190717085533j:plain:w360:left 昨日は雨の中、某新聞屋さんから切符を戴き、国立劇場に歌舞伎鑑賞教室を見に行った。実はこんな演し物を見に来たのはこれが二度目だ。一階は例によって中学高校生でいっぱいで、一般の客が入っているのは二階、三階だけれど、三階は多分椅子の数の二割くらいしかお客がいない。そりゃ私だって、これが有料だったら、行かない。

 演し物は菅原伝授手習鑑の「車引き」の場面と、棒縛りのふたつ。最初に坂東新吾と中村玉太郎が出てきて、歌舞伎の基本を説明。出演者の中でも知られているのは、松王丸と次郎冠者をやる尾上松禄と、太郎冠者の坂東亀蔵、そして坂東新吾くらいのもので、あとは推して知るべしなキャスト。棒縛りの音方の皆さんはともかく、車引きの太夫は、初舞台から20年というんですから、大ベテランでしょうが、声が義太夫に聞こえない。この人、長唄に廻った方が良いんじゃないか、なんぞと考えてしまう。
 そして松禄さん。私の年代だと、松禄といったら、良くテレビにも出て、人間国宝にまでなった二代目のこと。七代目幸四郎(私の記憶にはない)の三男で、すぐ上の兄さんてのが初代の松本白鸚、つまり今の幸四郎のお爺さんにあたる。だからまぁいってみれば今の松本白鷗と吉右衛門の関係といえば良いだろうか。兄弟の中がどうだったかは知らないけど。だから、メリハリの決まった、しっかりした役者のイメージが強い。ところが四代目の孫にあたる松禄は、ドングリ眼で声はガラガラ。セリフが良く聞き取れない。それはこっちが爺さんになって、耳が悪くなったんだといわれればそれまでだけれど、私には、ちょっと辛い。

 今回の鑑賞教室でとても良かったのは両袖の電光掲示板に、太夫義太夫の歌詞がちゃんと出るってところだろう。これだったら、役者の長台詞もこちらへ表示してくれると良いのに。梅王丸のセリフも「声はすれども良く聞き取れず」だったからなぁ。
 
 近頃とんと歌舞伎を見ていない。ちゃんとしたものを見て自分のものにするなら、ちゃんと金を払え、というところだろうなぁ。