バスは始発停留所からほぼ満席だった。
一番うしろの5人席は真ん中にドデンと爺さんがふんぞり返っていて4人しか座っていなかった。
次の停留所でまた随分乗ってきたので、上の段まで人が3人ほど立つようだった。
その次の停留所で、運転手が降り口まで来たからなんだろうと思ったら電動車椅子の人が乗るんだった。
立っている人の隙間から車椅子が乗ってきたのはわかったんだが、なかなか固定席に行かない。
そのうちに車椅子は下がって行って外へ出た。
どうしたのかと思ったら、そのままバスは発車した。
車椅子を置く場所の、折り畳める椅子に座っている人たちがどかなかったらしい。
しかし、運転手は声を出した形跡がない。
どうして車椅子のために空けなかったのか、そして空けるように促さなかったのか。
そのまま何事もなかったかのような、自分も含めた乗客の無関心さに驚いた。
なんて冷たい社会なんだろうか。
