ドナルド・阿保・トランプがどんなにこれまでのタブーを犯して、教養ある大人をかなぐり捨てて「常識の革命だ!」と叫んでもいいけれど、この国までもが、彼の後を追う必要はまったくない。年端もいかない子どもならまだしも、いい歳をした大人が真面目な顔してそんなことを口にするのは、明らかに人間としての価値観の低列化である。
原爆は安いからこれで国を守れば良いじゃないか、国民に主権なんてないんだよ、日本なんだから日本人ファーストでなにが悪い、お前は何人なんだ、十五円五十銭っていってみろ、なんてこれまでの日本では、馬鹿言ってんじゃないよ、とたしなめられてきたことを公衆の面前で平気で大声でいって、そうだぁ〜!と青空に向かって叫ぶ。
タブーは蜜の味なのだ。ここから先、スパイ防止法に注力するらしいが、それよりも経済をどうやって上向きにするのか、この国に暮らす人達がおしなべて幸せになるのにはなにが必要なのかについては語らない。なぜか、それは込み入っていて、ワンフレーズでは解決策を提示することができないからだ。タブーを叫んでスッキリしても、労働者の半分近くは非正規でしか働く余地が残っていないし、それすら、派遣企業に上前をはねられ、年金の向上にはなんの効果も産まない。相変わらず生活は良くならない。まともな戦いを続けようとするグループはシチ面倒くさくて良くわからない、だから叫んだほうが面白い。
どういうことだ。これはある種の「一揆」なのか。