ほぼ足りてまだ欲 その先

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誰が権限を持つのか

 IOCに対して提出する財政保証書に、「日本国政府は、東京オリンピック組織委員会財政赤字が生じた場合、関係国内法令に従って、最終的に赤字を補填(ほてん)します」と、国の全面的な支援を明記する。来週中にも閣議了解を経て、都が来月12日までにIOCに提出する開催計画書「立候補ファイル」に盛り込まれる。IOCは、政府支援の度合いを示す指標として国の保証を重視している。2016年五輪招致では、有力候補のシカゴ(米)に対抗するため、政府がどこまで踏み込んで保証するかが、焦点となっていた。(2009年1月24日03時05分 読売新聞)

 関係国内法というのは何が該当するのだろうか。それよりもそもそも一体全体、いつから2016年のオリンピックを東京に招致することに挙国一致で当たることになったのだというのか。今ここで9兆円とも云われている経費を使ってオリンピックを開く意味がどこにあるのだろうか。麻生君の説によればあと3年で日本の経済は復興するそうなんだし、発展のための起爆剤としての意味があるのかといえば、そんなことはなんの根拠もなくべらべらとまくし立てることはできるだろう。
 われわれ都民の恥の象徴ともいうべき石原がただ単に自分の発想で言い始めただけの話がこれまで何か確たるものを持って実現したことがあるだろうか。誰もどこでもそんな議論をきちんとやったこともないのに、気がついたら新宿西口のコンコースにはあたかもオフィシャルに決定したかのように「2016 TOKYO OLYMPIC」なんていう旗が出ている。こんな話にまでなるのであれば、広く都民を超えて国民議論にするべきではないのか。国家が保証する、という言質を与えるということであれば、もうこれは一地方自治体の権限を越えているではないか。
 そもそも近代オリンピックの精神からしたら、なにもこの半世紀に3回ものオリンピックを開催したこの国で、しかも、40年前に一度開催している東京でまた開催する意味がない。だったら、これまで一階も開催していない南米、アフリカで開催するべきだし、そもそも現在のオリンピックは民間団体が主催するのであればまだしも、もう既に公的機関が主催する意味をそもそも失っている。
 開催決議をしようとする国会議員の良識を疑うべきだろう。
 今年の初めに産経新聞が東京都の石原都知事にインタビューをしていてそこで彼はこんなものすごい論理を振り回している。

質問−IOC総会ではオバマ氏が米国の顔として演説する可能性が高い。日本の顔は不在です
石原「まったくです。だから私は皇太子殿下に出ていただきたい。しかし宮内庁が五輪は政治だという。なぜ政治なのですか。政治性はあるかもしれないが、スポーツは文化です。その証左に、先に古橋広之進さんは文化勲章をいただいたでしょう。皇室は誰のためにあるのでしょうか。国民のためにあるのでしょう。私自身、皇太子殿下はやる気満々でいらっしゃると聞いています。先日、麻生太郎首相にも『頼むぞ』って話したばかりです。皇太子殿下が一番ふさわしい」

 彼を貶めるために一言云うと、オバマに対抗するのはわが国では麻生太郎ではなくて、皇太子だということになる。石原の日頃の言動から考えたらそれで良いの?といってあげたい。元スポーツ選手が文化勲章を貰うのはスポーツが文化だからなんだ、と今更君にいわれるまでもないのだよ。多分石原にそのまま喋らせると「スポーツは日本では文部科学省の管轄なんだから文化なんだ」とまで付け加えてくれそうだ。
 「政治性はある」と自分でも認めているわけだからもうなにをか況やなんだけれど、これを黙っているとそのまま既成事実としてがんがんいってしまうんだろう。北島青年をその気にさせて連れ回すのは如何なものかと思う。
 ロンドンでのオリンピックを勝ち取るために英国は王室がバッキンガムでの晩餐会まで開いたと彼はいっている。日頃の彼はなんでもかんでも外国が優れているという風潮は如何なものかといっているじゃないか。だったらそんなねだり方をするな。もう今のオリンピックには正しいスポーツ競技という概念はとっくに払拭されてしまっていることは隠しようがない。
 最後に彼は質問に答えてこんなことをいっている。

質問:最後に、ずばり勝算は
石原:「まだまだわかりません。これから熾烈(しれつ)な、アンダーテーブルも含めた戦いが始まります。ただ日本はこういう戦いが下手なんです。日露戦争の時の明石(元二郎)大佐みたいな人がどこかにいませんかね」(産経ニュース2009.1.4 08:00)

 つまり、オリンピックを招致するには袖の下が重要なんだということを認めているわけで、それに対応していこうとするには長野オリンピックのように人に言えない金をどこかで作り出してすぐに帳簿をドガジャガしてその辺の民衆にはわからないように始末しなくちゃならないんだというわけである。日本人は清濁併せのむ奴が訳のわかった大人なんだというわけで、これは当たり前だということになっているらしい。そんなことを認識した上で、国からも保証を取り付け、皇室にも動けと宮内庁に苦言を呈しているということである。
 ちなみにその明石元二郎とは誰なのかと思ったら、日露戦争中にロシアのロマノフ朝を倒すために国家予算の0.4%を遣って革命勢力であるレーニンを支援した日本の陸軍参謀だそうだ。
 君がいう「文化の祭典」誘致のために引き合いに出すにふさわしい話だろうか。ま、きみの文化程度というのはその程度なんだろうとは思うけれどね。