ほぼ足りてまだ欲 その先

「ほぼ足りてまだ欲」がはてなダイヤリーの廃止にともないこちらに移りました。

素人バンド

 もう今やというか、随分前からみんな楽器をやる人は何人かで集まって合奏をするのだ。つまりバンドという奴だ。そこら中に練習用のスタジオができていて50年前と違って音を出す場所には困らない。金さえ出せばそんなところがある。誰かの家とか、倉庫とかそんなところで音を出して近所から苦情が来るなんてことはないのだ。あぁ、とうとうあそこのうちのバカ息子はこんなことをするようになっちまったなんてばれなくて良いのだ。そんなことをやる奴は不良だ!なんていわれなくて済むってことなのだ。
 だから、今の人たちはみんな楽器をこなす。なんたってキーボードをこなす人が普通にそこここにいるんだから。
 で、爺さん達も昔取った杵柄と楽器を持つ。(今平然とこれを書いて思ったのだけれど、杵柄って言葉自体がもう既に理解されない可能性が高いな)。その上人前でこれをご披露に及ぼうとする。ここに若干の問題がある。一体誰が聴くのか、という問題だ。そんな爺さん連が昔の歌を演奏するのをわざわざ聴きに来てくれる人なんているのか、という問題だ。来てくれるのはほぼ知り合いだけだ。だってビートルズの歌だったらビートルズを聴いた方が完成度が高いし、巧いし、乗れるし、バランスがちゃんと取れているんだし、そっちの方が何しろ心地よいぞ。知り合いだからそんな演奏もお金出してきてくれるのだよ。どうも、独善的な行為であるなぁ。自分の満足のために人から金を集めるのである。あまつさえ自分たちのオリジナルなんてものまで聴かせる連中に遭遇すると、「やめんか!」と云いたくなるはずだ。知っている曲ならば自分の頭の中で当時ヒットしたオリジナルを咀嚼することによって補完することができるけれど、素人バンドの素人オリジナルなんて、補完する術すらないのである。その上、バランスは悪い、演奏は下手じゃこれはもう苦痛としか云いようがない。
 この歳になってようやく到達したのである。素人は昔のヒット曲を演奏するに越したことはないのである。
 かつて傲慢にもお友達の皆さんからお金を取って苦痛を強いたことをこの際お詫びする次第である。(この言いぐさが既に傲慢。)
 クリスマスと来たら、この曲でしょ?