日本料理の中で今最も食べたいもの、自分が好きなものは一体なんだろうと考えることがあります。この歳になって一体なんちゅうことを考えるのかと思うわけですが、この歳だからこそ考えると云っても良いのではないかと思います。というのはもうあと何回と数えるくらいしかチャンスがないからなんです。うまそうなもので、これまで食べたことがないものが多分いくらもあるはずで、それが一体何なのかと云ったら、食べたことがないのだからわからない。つまり、考えたって、自分の底辺が非常に限られちゃっているので大した話にはならないわけです。
むかし、外国で暮らしたときは、時として無性に駅の立ち食いそばが食べたくてたまらなかったことがありました。いまは駅なんかよりも普通に街中にたくさんあるわけですが、かつては小腹を満たすためにあったものが、今や立派な一食の選択肢になってしまっているわけで、結構寂しいものがないとは言えませぬ。
毎回食べるたびに実は遠慮しちゃって、思う存分ではないというものがいくつかあります。そのひとつが、もちろん、ウナ様です。二段重ねのたっぷりしたやつを思う存分口に放り込みたいと常々思っているのに、実際その場になると、思わず「中ぐしでいいや」と云ってしまいます。しかし、実は口いっぱいにほうばりたい。
それは鮨でも一緒です。穴子と中トロと車海老をほうばりたい。しかし、海鮮丼で良い、といいます。
天丼でも特別大海老天丼を食いたいのに、ランチサービス天丼を頼んでしまいます。
自分が好きです。アハハ・・・・。
