ほぼ足りてまだ欲 その先

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外資系企業

 半世紀ほど昔、私が学生を終え、どこかに職を得て暮らし始めた頃、外資系企業に就職するのはリスクが高いと思われていた。いつ職を失うかわからない不安定な職種だと思われていた。だから、アメリカに留学して勉強したいと思っていたけれど、女性ならまだしも男は止めた方が良い、帰ってきてから日本の企業に就職できないぞ、外資系くらいしかないぞと脅かされていた。何重もの意味でそういう時代だった。
 つまり日本の企業は家族主義的雇用の時代であり、女性は男性と互して稼がなくても良いというニュアンスがあり、企業もそのように雇用し、日本の文化は外国の文化とほど遠かった。
 今になってみたら、企業がみんなアメリカのように自由に労働力をコントロールできるようにしたかったから、自民党に金をつかませて、ほとんどの社員をパート従業員に転換することに成功した。労働組合がのほほんと御用組合に貶められて力を失っていた間に。専従組合員たちの怠慢は指摘されるべきであるだろう。彼らが死にものぐるいで逃走をしたかと云ったら、全くそんなことはなかった。無血革命だった。日本人は歴史から見ると、あっけなく大きな転換を受け入れてきたから、今更不思議でもないのかも知れない。
 むしろ、今になってみたら、日本企業の方がなんぼか無秩序な労働環境になってしまったといっても良いのかも知れない。
 今の若者たちがどう思っているのか知らないけれど、今の日本に固執する必要はどこにもないのではないだろうか。むしろ外国へでた方が安全な生活を築けるかも知れない。この国はこれから腐っていく。もうすでに一度腐ってしまって、それを克服しようとしている国の方がまだマシだと思う。何しろ日本はこれから市場がより収縮し、それでもより搾取される国になっていく。
 もっとも、これまでのように大きな転換期を迎えるのかも知れないが、それが良い方向への大転換である保証はないし、むしろより悪化する大転換の方が可能性は高い。