私が安楽死に対してずっと反対している理由は、人間間際になったらなにを思うか、なにを求めるか、わからないからなんです。「あぁ、辛い、苦しい、痛い、もう死んでしまいたい」と思っていても、ひょっとしたら、その最後の注射液が自動的に打たれる直前に「あ、ちょっと待って!せめて最後にあの人に会って謝っておきたい!」と思っても、もうそれは不可能なんですよね。
自死に至るというのは最後は「あぁ、もう命を絶ったら気持ちが良くなるんだろうなぁ」と思ってしまうんだということも聞いたこがありますが、最後の最後のことは誰にもわからない。そしてそれを悪用する人間が必ず出てくるだろうという想像ができるからでもあります。だからこそ、安楽死を法の上で許したらいけないんだと思っているんです。