検察庁法改正案の特例規定で、検事長ら要職の定年延長を政府判断で認める「公務に著しい支障が生じる」とは、どういうケースなのか。野党統一会派の階猛氏(無所属)が衆院内閣委員会で、武田良太・国家公務員制度担当相を追及した。 武田氏は用意した紙を読み上げ、「重大かつ複雑困難事件の捜査、公判を担当する検察官や、指揮監督する検察官が、退職により交代することで、捜査、公判で適切な対応ができなくなるなど、重大な障害が生ずる場合」などと答弁。階氏が「重大かつ複雑困難事件とはどういう事件か」と迫ると、武田氏は「様々であります」と言い切った。
国民民主党の後藤祐一氏は、昨年10月から今日に至るまでの間に、検察官の定年延長が必要になった理由を具体例をあげて説明するよう要求。武田氏は「個別具体的なことについてはコメントを差し控えたい」「私の知る限りでは、ちょっと、記憶しておりません」などと答弁がぶれた末、「事案はないんですけれども、犯罪が複雑・困難化している。こうした事情を鑑みると、そうしたことがあり得る」と述べた。後藤氏が尋ねた「過去の具体例」ではなく、「将来への懸念」を示した形だ。
後藤氏はさらに「そういう事例が昨年10月から今までの間に具体的にあったのか。それは黒川(弘務・東京)検事長のケースだけではないか」とただすと、武田氏は「その通りであります」と認めた。
武田氏は「施行日までにはしっかりと明らかにしていきたいと思います」と答弁したが、後藤氏は「どう運用されるかが示されたら審議の続きをやりましょう」と述べ、委員室を離れた。
どう考えても、この法案の審議は無理な話で、なにしろどうやったら、これまで自民党議員の不正を不問に付してきた黒川弘務東京高検検事長を検事総長にして、安倍晋三・昭恵夫婦を守ることができるか、という発想から急遽始まったのだから、無理も無理で当然だ。
武田良太内閣府特命担当大臣(防災担当)という議員がいたことは今まで知らなかった。福岡・田川の出身でもう既に17年間、6期衆議院議員。伯父・田中六助の地盤継承者で、ある意味世襲議員。なんで防災担当が検察庁法の審議に出ているのかといえば、現法務大臣である弁護士出身の森まさ子が予算委員会で無茶苦茶答弁をしてしまったからである。彼女を出すと、またそこをほじくられるからだ。
なお、石破茂はBW-TBSの「報道1930」で強行採決はダメだと表明した。