バス停まで来ると、庇があるのに、骨がたくさん入っていて高級そうな傘をさしたまま、ベンチに座っているお婆さんがいる。バス停の表示を見るともうちょと待てばバスが来そうだった。おばあさんは青い色のマニュキュアをしていて、ブラウスもかなり気張ったものだった。多分お金持ちなんだろうなと思った。突然立ち上がったお婆さんはバスの時刻表を眺めると、後ろを向いて私に「上野のデパート前まで行くバスはここに来ますか?目が悪くて・・」と訊く。「いや、それだったら交差点を渡って、その先のバス停ですよ、ここに来るバスは上野の二つ先の駅へ行きます」と答えた。ちょっと肩を落とすようにして、お婆さんは交差点に向かって歩き出した。見ていると、渡っていったからひと安心だったところへバスが来た。私が後ろの方の窓際にやれやれと座って、外を見ると、そのお婆さんがタクシーを止めようとしていた。バスがそんなに頻繁に来ないことがわかったのかもしれない。不安だったんだろうなぁ。そんな午後の雨だ。