ほぼ足りてまだ欲 その先

「ほぼ足りてまだ欲」がはてなダイヤリーの廃止にともないこちらに移りました。

歩くためと称して

 どうも黙っていると家に閉じこもる傾向にあって、まったくの話身体を動かさない。今朝もどなたかが「身体を動かさないと脳そのものも動かない」といった話をされていたので、そうか、やっぱりまずいことになりそうだぞと危機感を持った。そこに帰ってきた連れ合いが近所の同年齢のおじさんが歩きにいったというものだから、やっぱりこうしちゃいられんと思ったものの、いつものように近所を歩くのでは面白くない。それで、目標を昼飯処にすればいいと理屈をつける。

動坂食堂

食べログ 動坂食堂

 さればと、twitterで私がフォローさせて戴いている方が書いておられた動坂下の「動坂食堂」のアジフライ定食を食べに行こうとバスに乗る。道灌山下でバスを降りて、動坂下の交差点まで歩く。この区間は殆ど通ったことがないので、見るもの見るものみんな珍しい。左官屋さんでは若い職人さんたちがなにやら立った壁に鏝を使っている。午後2時前になりそうだというのになんの変哲もなさそうなラーメン屋さんと覚しき建物の前に若い人たちが何人も立ち並んでいる。並んで食べるほど旨いという事なんだろうと思ったら、帰って調べてみると随分名の売れたつけ麺やさんだそうだ。
 今の若い人たちはこうした食いものを論評するのがなんでこんなに好きなのかと思うほど様々なところに書かれている。なにしろ製麺所がどこだとまで書いている人がいるんだから凄いねぇ。
 近所に「住居に不法侵入するんじゃない」という手書きの看板をべたべた張った家がある。よく読むともう八年にもわたって地上げを狙われていると書かれている。物騒な話だなぁ。
 動坂食堂は交差点の角にあって等価交換ででも建てたのか、ビルの一階に入っている。開けて入ると左手に四つのテーブル、右手に三つ、真ん中に三つくらいだろうか。全部埋まったら40人くらいは入れそうだ。壁に短冊がずらぁ〜っと。一番端っこに書いてある定食はといえばアジフライ定食で、実は私はアジフライが大好き。そういえば昔は良く鮭のフライをオフクロが作ったなぁという話は前にも書いたか。ウェブで読んでいたので注文と同時にご飯少なめ宣言。これで30円安くなるんだと伝票が来てわかる。丁度良い量で、ぴったり。しかし、アジ一枚というのはちょっと物取りない。そうかといってそれだったらきっとこの値段(通常ご飯の量だと580円)じゃ終わらない。
 店内にはおじいさんおばあさんの6人組がまったりとビールを呑みながら食事だ。私の隣にいたおじいさんが呑んでいるビールを持ったままその六人組に近寄っていく。なんだろうと思ったら知り合いだったようで、親しそうに声を掛け合っている。
 しかし、さっきから続いている話題は病気のことばかりで、どうやら誰かが癌を患っている様子で、抗がん剤が強くてどうのこうのという話だ。なんだかこれでビールがなかったらどこかのデイサービスみたいである。
 お客は仕事の合間の昼飯という雰囲気のサラリーマンと覚しき男性がひとりだけいたけれど、あとは全員私も含めてもはや隠居の男性ばかりだ。
 不忍通りをとにかく上野広小路に向かってただひたすら歩く。そういえばこの辺に古本屋さんがあったはずだと思ったらなんと水曜日で定休。そりゃ残念。
 根津の地下鉄の駅近くまでやってくると近辺のビルの壁に「反対」と書いた垂れ幕があちこちに書いてある一角がある。何に反対なのかと周りをよく見ると、NTTのビルの周りで、そのNTTの建物の柵に法定の「建築計画のお知らせ」が貼ってある。最高高さ37mほどと書かれているのだけれど、建物そのものは「地上7階」と書いてある。これだけの高さがあったら普通のビルだったら10数階に相当するわけだけれど、こりゃ一体何だろうと思うと「電気通信事業用建物」とされている。一体何だろうと思ったらその反対幔幕でそれが知れた。無人の通信事業用コンピューター施設のよう。随分前から揉めているらしいけれど、NTT側は地域住民からの要求に応えた説明を前向きにやってこなかったために揉めているようだ。最初の対応が大間違いだったのだろうなぁ。こういう建物は24時間稼働で、なおかつ厳格な空調が必要だから閉鎖的な建物となり、当然空調機が大きくなる。地元は景観を心配するし、何よりも電磁波の影響が心配になる。
 電磁波の人体に対する影響については今のところ科学的な解明が明確でないという大きな問題がある。
 池之端までやってくるとおどろおどろしい名前の38階建てのマンションがそびえている。とはいってもこの辺まで来ると周りはマンションだらけだ。この辺には先日広告が新聞に入っていた驚く価格のマンションがあるはずだけれども、と思っていたらあるある。それすらなんだか高級感が漂う販売拠点が。何しろフラッとは行かれないらしくて「予約制」と書いてある。なるほど高いわけだ。それにしてもこの辺にこんなに高いものを建てて大丈夫なんだろうか。岩盤支持層まで杭は到達しているんだろうか。ま、よそのうちのことだから勝手に心配するには及びませんとでもいわれてしまうのかも知れないけれど。
 その辺まで来ると妙に緊急自動車のサイレンがうるさい。そのうちに不忍通りを日本医大と消防署の救急車が飛んでいく。天神下まで来ると角に消防車が数台とその救急車が停まって、赤いランプがくるくるしている。しかし、ホースが延びているわけでもないし、きな臭いわけでもない。周りの人たちはみんなきょとんとした顔をして覗いている。一体何だ・・。松坂屋の前まで歩いて行く途中で気がついた。この辺には三絃屋さんが結構ある。いや、正確に言えばすぐに二軒に気がついた。昔はあちこちにあって、そういうものを扱っている職人さんが結構いたものだ。そういえば、あっちもこっちも気がついたら大きなビルかなんかになってしまっているけれど、あぁいう職人さんは皆さん一体どこにいってしまったんだろう。