もうこんなに凄い雨だから、「福島から」という映画を作っている荻野欣士郎監督から声を掛けて貰った日比谷公園発の反原発デモに行くのは諦めようと、twitterでも書いていたのだけれど、昼頃になって雨が随分小振りになったので、下駄箱の奥に転がっていた長靴を履いて出掛けた。なにしろ放射能を被爆するのは眼に見えているからね。
ところがどうやらこの長靴は私のものではなくて、息子のものだったらしくて、少し大きいのだ。だぶだぶの長靴というのは実に歩きにくいもので、必要以上の体力を消耗するだけでなくて、足のあっちこっちが痛くなるものなんである。
ようやく到着した日比谷公園は僅かに日比谷公会堂の入り口におばさん達が群がっているだけで、他は実にひっそりしていて、そんな人たちが集まっている風情もない。公会堂の人たちはこんな台風が来ているというのになんだろうかと思ったらなんと「美空ひばり生誕祭」と書いてあるのだ。そろそろあの人は神の領域に入りつつあるようだぞ。
さて、そのデモ隊である。内幸町の交差点に建って東京電力本社の方を見ても、デモ隊どころか警備の警察車両すら全く見えない。静かなものだ。フジテレビとNHKの中継車が停まっているだけで、警官も4-5人がちらほらと見えているだけだ。一体彼等はどこに行ったのか。この時点でひょっとしたら雨だから中止したのかも知れないと思いだした。
ガードをくぐって維新号別館の前の(週末だから)なにも車の来ない信号を無視して渡っていた女性に警官が「信号を守りなさい!」といったら、その女性は「はぁ〜い」といった。のんびりしたものだ。
電通通りにでてみると、遙か彼方、もう数寄屋橋の交差点を渡った先のあたりにクルクルと回る警察車両の点滅灯が見える。もうあんなに先にいってしまっていたのだ。
いくら跡を追ってもぶかぶかの長靴では追いつかない。仕方がないから、教文館に寄り、アップル・ショップに寄り、伊東屋に寄ってから一丁目にいくと、解散して帰ってくるデモ帰りの人たちに遭遇した。なんて早いデモだったのか。