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踏まれた足

「7カ所は強制労働の場」韓国が反発 産業革命遺産巡り
明治日本の産業革命遺産」が世界文化遺産に登録される見通しとなったことに対し、韓国が反発している。23資産のうち7カ所で日本の植民地時代に朝鮮半島出身者5万7900が強制動員されたといい、韓国メディアは4日、「『強制徴用』の産業施設、世界遺産登録有力」などと速報した。
 韓国外交省の当局者は4日、「強制労働が行われたという事実は無視したまま、産業革命施設だけで美化して登録するのは、世界遺産条約の基本精神に反する」と指摘。韓国側は世界遺産にはふさわしくないとして、正式な登録を阻止する反対運動を強める方針だ。韓国国会の外交統一委員会も4日、登録をめざす日本政府を糾弾する決議を採択したばかりだった。
 一方、下村博文文部科学相は「近代産業遺産群は1910年以前の話。そこに強制的に朝鮮の方の労働が行われたとかいうことではない。時代が全然違う。韓国の懸念は当たらないということを丁寧に説明していきたい」との姿勢を示している。(朝日新聞デジタル 2015/5/4 23:55)

 韓国の懸念をはねのけようとする下村の発言は正鵠を射ていない。というのは韓国がいっているのは、7つの産業施設には植民地支配の結果としての抑圧された労働を思い起こさせる施設であるということであって、その施設がいつ作られたか、ということを問題にしていない。彼らにしてみればその施設の名前が出ただけでも怖気が蘇る。彼らに対しては外交上の手続きによって、既にとっくに解決した問題だ、という突き放しは当然沸き上がってくることだろう。そういう問題ではないのだ。
 実はこれは韓国から導入された労働力だけの問題ではなくて、先の大戦中に強制的に労働に従事させられていた連合国捕虜であった人たちに対してもまったく同様の発想を起こさせる可能性がある。彼らはとっくに他界している人たちが大半で、しかも組織化されていないから、そんな声が出てくることは全くないだけの話だろう。
 民主党政権下にあった頃から始まって毎年10人ほどの元捕虜だった方たちを外務省が日本に招いて謝罪しているが、毎年来日する人たちの中には一人か二人は確実に日本人の聴衆を前にして、「私は今でも許すことはできない。今でも想い出して動けなくなることがある」と発言する人がいる。当然のことだろう。
 なぜなら、これは商習慣上の契約ではないからだ。
 元総理大臣であった岸信介は先の戦争についてこんなことを書き留めていたことがある。彼がA級戦犯として巣鴨にあった頃のことである。

 大東亜戦争を以て日本の侵略戦争というは許すベからざるところなり。之れ事実を故意に曲するものなり。事実を知らずして云ふは尚ほ許すべし。事実を誣(し)ひさらに時流に阿諛(あゆ)せんが為めに謂ふは断じて許すべからず。先進国の二世紀に亘る世界侵略に依る既得権益の確保を目指す世界政策が後進の興隆民族に課したる桎梏、之れを打破せんとする後進興隆民族の台頭、之れ其の遠因たり。

 これを正当だということにしちゃうと、今やこっちも困ることになっちまうって事でもある。某総理大臣がいっている根拠もこれですか?

追記

 「じゃ、エジプトの遺跡、ピラミッドなんてのも世界遺産から外せよ、血塗られた奴隷の使役でできたんだろ?あれは古いから良いのか?」という意見あり。
 そうそう、ふるぅ〜いのは良いンだよ!もうとっくに、終わった話だから。100年やそこらと同じにするなよ。