ほぼ足りてまだ欲 その先

「ほぼ足りてまだ欲」がはてなダイヤリーの廃止にともないこちらに移りました。

吉井英勝-その2

 下の2006年3月1日の衆議院予算委員会第七分科会における吉井英勝の質問の中に1995年2月1日の予算委員会での彼の質問が出てくるので、それがどんな内容か、これまた、ちょっと長いけれど、引用してみる。

衆議院予算委員会 1995年02月01日
日本共産党・吉井英勝
 私は、阪神大震災で犠牲となった方々及び被災された方々に哀悼の意を表し、心よりお見舞いを申し上げます。
 そして、今回の地震で国民は、新幹線とか高速道路それから鉄筋コンクリートのビルなど、これまで安全だと思っていたものの崩壊に驚き、それとともに、安全だと説明されてきた日本の原発の安全性に大きな疑念を持っています。
 先日、実は静岡の浜岡町の総総代、連合自治会長に当たる方ですね、この方が我が党の町会議員に、原発でも安全神話が崩れてしまった、何を信頼していいのか、そういう言葉を語っておられます。政治は、今の国民の疑問や不安にこたえなければならないと私は思うわけです。そこで、きょうは最初にその問題から質問していきたいと思います。
 まず、今回の地震の加速度についての測定データの方から少し確認の意味で伺っておきたいのですが、大阪ガスの神戸・中央区で833ガル、神戸海洋気象台で818ガル、大阪ガスの西宮で792ガル、神戸・本山で774.9ガル、JR鷹取駅で616ガルで、JR宝塚駅が601ガル、こういうふうなものが、主なデータとして国の方でつかんでいらっしゃるのではこれでいいのかなということと、あわせまして、これよりもっと大きな測定値があればお聞かせいただきたいと思います。

小里貞利震災対策担当大臣
 現在の段階で私ども本部が把握申し上げておりまする状況を御報告申し上げます。
 先生はもう既に現地も具体的に踏査なさっておられるわけでございまして、状況説明は省略いたしますが、気象庁の観測では、今回の地震マグニチュードは7.2、神戸、洲本で震度6を観測した、さような報告でございます。
 なお、神戸市中央区神戸海洋気象台地震計におきましては、最大の加速度としまして、南北成分818ガル、東西成分617ガル、上下成分322ガルの地震動を観測した、さような報告でございます。
 なお、気象庁地震機動観測班が行った現地調査によればでございますが、神戸市三宮付近及び淡路島の北部の一部は震度7であった。以上でございます。

日本共産党・吉井英勝
 建設省の道路橋調査団の報告によりましても、私が先ほどお聞きした数字については確認をされているようでありますが、あわせて、鉛直地震力の測定データについても聞いておきたいと思うのです。
 これは、今回高速道路の橋脚とかビルの破壊がこれに非常にかかわりが大きかったということも言われておりますし、そういう意味でも伺っておきたいのですが、神戸大学で446.5ガル、神戸・本山で379.3ガル、尼崎の竹谷町で327.9ガルというふうに伝えられておりますが、主なものとしては大体こういうことで理解していいのか、あるいはもっと大きな測定データを掌握しておられたらお聞かせいただきたいと思います。

小里貞利震災対策担当大臣
 恐れ入りますが、細やかな観測データにつきましては、気象庁を通じて御説明申し上げたいと思います。

気象庁長官・二宮洸三
 先ほどお答えがございましたように、神戸海洋気象台地震計におきます鉛直加速度は332ガルでございます。
 それから、今回の地震地域でございまして、強震観測というふうなものを実施している機関が気象庁以外にもございます。それは京都大学大阪大学神戸大学などの研究機関、そのほか大阪ガス、JR等がやっております。
 それからまた、全国の強震観測の取りまとめにつきましては、強震観測事業推進連絡会議というふうなものがございまして、日本学術会議の勧告に基づき設置されたものでございまして、ここで建築構造物等の強震観測データの取りまとめをいたしてございまして、これは22機関が参加してございます。ただ、現在のところ、これらの機関から加速度につきましての正式な報告はまだ承っておりません。

日本共産党・吉井英勝
 正式な報告はないにしても、報告としては聞いていらっしゃると思うのですが、私ども既にそういう先ほどのデータを伺っております。
 そこで、通産大臣に少しお聞きしたいのですが、この833ガル以上の値とか鉛直地震力446.5ガル以上の値を耐震設計基準とした原発が日本にあるのかどうかだけ、一点伺っておきたいと思います。

通商産業大臣橋本龍太郎
 大変申しわけありませんが、私は技術の専門家ではございませんので、事務当局からお答えをすることをお許しをいただきます。

資源エネルギー庁長官・川田洋輝
 お答え申し上げます。
 ただいまの先生の質問に直接お答えするとすれば、ございません。しかし、やわらかい砂のところで測定された値と、原子力発電は御承知のように大変かたい岩盤に直接固定をするということでやっておりますので、その数値は異なるということでございます。
 説明いたしますれば、833ガルは大阪ガスの葺合地点で観測をされたものという報告を受けております。ここは海に近いやわらかな地盤と推定をされますので、地表の揺れが大きく、三倍程度に増幅されているのではないかというように思われるところでございます。
 以上でございます。

日本共産党・吉井英勝
 そういう原発はないというお答えをいただきましたので、あとのことはまた順次議論させていただきたいと思います。
 済みませんが、資料を配付していただけますか。
 この資料というのは、実は通産省からいただいた資料を整理して私の部屋の方でつくらせていただいたものですが、なお通産省からちょっと訂正の申し出がありましたので一つだけ御紹介しておきますと、東京電力柏崎刈羽の3、4号機の後の6、7号機ですね。6、7は、これは建設中ということで訂正をしたいということでありましたから、稼働中48基ということになりますね。もちろん、科学技術庁所管分が一基ありますから、それを合わせると49基ということですが、それでこの表について、これはいただいたものをそのまま写したのですが、これは事務方の方でもいいですが、後の議論と食い違いがあってはいけませんから、このデータ、これは間違いないことだけ最初に確認しておきたいと思います。

資源エネルギー庁長官・川田洋輝
 お答え申し上げます。私もただいまこの場で見ましたものですから確実なことは申し上げられませんが、これを提出して先生に御説明した者が横におりまして、確かめましたところ、お持ちした数字であるということでございます。

日本共産党・吉井英勝
 それで、福井大地震のあった関西電力の美浜、高浜、大飯などのところを見ていただきますと、安全余裕検討用地震動または基準地震動S2という値ですが、これについて最大で405ガルということです。東海大地震の予想される中部電力浜岡1、2号機では450ガル、また3、4号機では600ガルということにしておりますが、いずれもこれは神戸・中央区の833ガルよりも低い値になりますし、また鉛直地震力については、これは最大加速度振幅の二分の一を基準とするということにしているようですから、神戸大学や神戸・本山、尼崎のいずれのデータよりも設計基準が低かったということになります。
 すべての原発の設計基準が、地盤の問題等の議論は後ほどやりますが、今回の阪神大震災で観測された最大加速度はもとより、それ以下の測定記録と比べてみても低い値であったことは明らかだと思うのですが、この点だけはもう一度確認しておきたいと思います。

資源エネルギー庁長官・川田洋輝
 お答え申し上げます。直接測定をした値は御指摘のとおりでございますが、先ほど来御説明している事情があることは御承知願いたいと存じます。

日本共産党・吉井英勝
 それで、おっしゃる二倍から三倍という話は、これは実は例えば浜岡原発の原子炉設置許可申請書等にも出ていることですが、堆積層では岩盤より二倍から三倍の加速度になることがある、それを考えなきゃいけないというのが先ほどの答弁の内容ですね。
 この機会にちょっと御紹介しておきますと、浜岡原発のこの瑞ソ書では、余談になりますが、実はこのときの最大級の加速度を示したと言われる福井地震における沖積層の五百から六百ガルをはるかに上回る値で、大丈夫だ大丈夫だということを出してきているわけですが、実は福井地震におきましては、測定器がなかったわけです。測定器がなかったわけですから、600ガルとか500ガルとかいう話は全くデータとしてはないわけです。
 それは私が勝手に言っているのじゃなくて、これは後ほどごらんになられればおわかりになりますが、福井市が実は「福井烈震誌」というのを出しておりますが、この「福井烈震誌」の中立、福井地震のときに、福井測候所には戦災以来地震計の設備がなかった。ですから、要するに人が感じた感じで、これは大体何度ぐらいだろうとか、それから有感地震が、人が感じられる地震が何回ぐらいあった、そういうデータしかないというのが、これは記録であります。
 ですから、申請者もデータのないものについて、あるような確信を持って出すのは変なことだと思うのですが、それは余談といたしまして、実はこの二倍ということにいたしますと、これは岩のところよりも二倍の値で上に出たというのが833ガルということになりますから、これは単純にはいきませんが、二で割れば、これは岩盤のところで416.5ガルあったことになるわけです。
 これは、この提出した資料をごらんいただくとすぐわかりますが、まずこの値と比べて、泊1号、2号、女川、福島第一原発の1号から6号、福島第二の1号から4号、美浜1号から3号、高浜1号から4号、大飯1号から4号、島根1、2号、伊方1、2号、玄海1号から3号、川内1、2号、東海第2、それから敦賀1号の合計35基の商業用原発の設計基準が、実は岩盤のところでも今おっしゃった基準で見ても阪神地震の測定値以下であった。つまり、設計基準値を超える地震であったということになるわけです。ですから、基準値に問題があったということがこれでわかるわけです。
 三倍というのもおっしゃいました。三倍で見ると、これは設置者側に有利になる数字になるのですが、三倍で見たとしても、逆に三で割ればいいわけですが、岩盤で277ガルの地震ということになります。これは福島第一の6基、福島第二の2基、玄海1、2号、川内1号、東海第2の合計12基ですね。つまり、12の原発は設計基準値以上の地震になっていた。ですから、基準値が合わなかった、こういうことになるのではありませんか。

資源エネルギー庁長官・川田洋輝
 お答え申し上げます。先ほど直接岩盤に固定をするということを申しましたが、そのほかにさらに原子炉容器原子炉格納容器などの重要なものにつきましては、四国の多度津に世界で最も大きい大型振動台を持っておりまして、そこで実地の加振試験を加えて安全性の実証をいたしておるところでございます。
 そこで、それも踏まえて数字を申しますと、今先生からお示しのS2の数字でございますが、日本の原子力発電所の設計用の地震動は、岩盤上で全体を平均してみますと370ガルということに相なります。先ほどの、実際実験をいたしております数値はその1.6倍、590ガルまで耐え得ることが大型振動台での実証試験により確認をされているということでございます。
 今回の地震におきましては、先ほどお示しございましたように、砂地のところでの833ガルというのが計測されておるところでございますけれども、揺れの少ない岩盤上では、先ほど御説明いたしましたように三分の一、砂地に比べれば三分の一程度の、数字でいいますと280ガルということに当たるわけでございます。したがって、280ガルと590ガルという比較で、原子力発電所が十分耐え得るものであるというふうに私ども思っているところでございます。
    〔三野委員長代理退席、委員長着席〕

日本共産党・吉井英勝
 平均値。370ガルですか、おっしゃったのが合わないということは先ほどの指摘でよくわかりますが、それで、なお多度津のこととか私もわからぬではありませんが、15m角の上に全部原発を載せて実験というわけにいかないので、単体ばらばらにして、単体ごとのデータであって、これはシステム全体としては実のところ測定値はないわけです。これは、システムを組み立てたときには単純には単体のデータどおりにいかないということで、ですから多度津の例を出しても説得力がないということを申し上げておきたいと思うのです。
 発電用原子炉施設に関する耐震設計審査指針というのを安全委員会が出しておりますが、直下型地震については、S2として考慮する近距離半径10kmということが大体基準のようですが、その地震にはマグニチュード6.5の直下地震を想定するとしております。実は、今回はマグ二チュード7.2の直下型地震でありました。ですから、その想定が現実の直下型地震マグニチュードより低過ぎた、明白にこれはやはり改めて考えていかなきゃ問題を持っていることを指摘しておいて、私はそこで少し総理に伺いたいんですが、これまで日本の原発は安全だと言ってきたことが、これはたまたま直下型地震に遭遇していなかったということであって、実態に合わない。もちろん、人口密集地の神戸のようなところへ原発を持ってくるということは当然ないわけですが、そういうことがやはり明白になったと思うんです。
 総理、日本共産党は反原発とか脱原発というこれまでの総理の社会党の立場とは異なるわけでありますが、原発問題について異なる立場をとってきておりますが、しかし、私たちは、この原発についての考え方に違いがあっても、現状の原発の危険から国民の安全を守る、こういう点ではみんな一緒に取り組んでいこう、そういう態度であります。しかし、現状の原発が全く安全で心配のないものだ、こういう安全神話に立ってしまったら、これは無責任なことになると思うのです。この点について総理の見解を伺っておきたいと思います。

村山富市内閣総理大臣
 原子力発電について安全性の確保というのは徹底してやらなきゃならぬことは、もうこれは共通して皆さん同じだと思います。これはもう当然のことだと思うのです。
 これまで御指摘のございましたような発電所の耐震性につきましては、先ほど来お話もございますように、安全性の確保に万全を期すために、地点選定に当たっては活動可能性のある活断層は避ける、敷地周辺の活断層や過去の地震等の詳細な調査に基づく安全上の十分な余裕を持った耐震設計がなされておるというふうに聞いておるわけでありますけれども、しかし、これまでの考え方に安住するのではなくて、それは今回のような地震に関しでもいろいろな経験もしてきているわけですから、各方面での調査検討も見きわめながら、一層この安全性の確認については徹底する必要があるというふうに私は思っています。

日本共産党・吉井英勝
 安全神話というものをやはり政治の世界からは断ち切らないと、開発したい人が神話に取りつかれるのはこれは別として、政治家というのはやはり国民の心配とか安全に対する疑念とか、これにきちっと対応しなきゃいけないわけですから、そういうことを申し上げて、次に進みたいと思います。
 これまでの発電用軽水型原子炉施設に関する安全設計審査指針の中では、全部読んでおりますと長くなりますからはしょりますが、「原子炉施設全般」について「自然現象に対する設計上の考慮」ということも項目に挙げまして、その中で、「設計用地震力に十分耐えられる設計であること。」ということを示すとともに、「安全機能を有する構築物、系統及び機器」について、これらは「予想される自然現象のうち最も苛酷と考えられる条件、又は自然力に事故荷重を適切に組み合わせた場合を考慮した設計であること。」というふうにしているわけです。
 つまり、やはり安全の上にも安全だ、それを考えなきゃいけないということを一応この指針ではうたっているわけです。この点では、1989年のサンフランシスコ地震は980ガル、1994年のロサンゼルス地震は1800ガルとか、ですから1800ガルを3で割ったとしても600を超えるわけですね。
 ですから、やはり本当にこれは過酷な条件を考えなきゃいけないんだと指針でもうたっているぐらいなんですから、新しい基準というものを早急に設けて、その上で総点検をきちんと行う、それが私は政治の責任であるというふうに思うんですが、この点についての総理あるいは通産大臣の見解を伺っておきたいと思います。

通商産業大臣橋本龍太郎
 地震の報道に接しましたとき、私にとりましてやはり一番の関心事は、生活の源になる電気、ガスはどうだろうということでありました。そして、その被害状況が明らかになりますと同時に、原発はどうだったということが事務方に対する次の問いかけでありました。幸いに、今回の兵庫県南部地震におきましても、またはるか沖地震のときにも、いずれも問題がなかったということで実は私は安心をしたところです。
 しかし、今委員が御指摘になっておられますように、安全に対してどこまで注意をしても行き過ぎということはありません。通産省といたしましても、各方面で今回の地震に関する調査などが進められておりますこと、同時に、原子力安全委員会が今回の地震を踏まえた検討会を設置され、耐震設計に関する指針の妥当性について確認されるということを踏まえまして、こうした調査検討を注視すると同時に、通産省にございます原子力発電技術顧問の専門的な御意見も伺いながら、今回の地震によって得られる知見から、原子力発電所の安全性について参考にすべき視点が存在するかしないか確認を行うなど、引き続き安全確保に全力を尽くしたいと思っております。

日本共産党・吉井英勝
 妥当性の確認ということで、確認してみて今までどおりでよかったよかったじゃ困りますので、そういうことにならないようにやはりやってもらわぬといかぬと思うのです。
 私は、安全審査を所管している大臣として科学技術庁長官に次に伺っておきたいと思いますが、カリフォルニアには略称活断層法と呼ばれる州法があります。活断層の土とその近傍では、原発など危険物施設はもとより一般住宅についても建設することを避けるように、禁止するという、そういう法律です。これはアルキスト・プリオロ特別調査地帯法という名前で1971年につくられているんですが、私はこの法律の中身についてきょう大臣に聞こうと思っているんじゃありません。
 大事なことは、アメリカ並みのこういう発想を、日本は世界の地震とそれから火山の一割が集中している、日本列島全部が活断層だらけといいますか、そういう地震地帯であるわけですから、ですから私は、アメリカ並みのそういう活断層法と同じようなものをつくれということを今ここで言っているわけじゃないんです。そういう発想というものが今後やはり必要になってくるんじゃないか、そういうことについて大臣の所見を伺っておきたいと思います。

田中眞紀子科学技術庁長官
 将来的には今先生がおっしゃったような海外も参考にするような発想も必要になるかとは思いますけれども、日本は、先生が先ほど来数字を挙げておっしゃっていらっしゃいますように、活断層が走っていて、地震国であるというのはこれは日本の宿命でございまして、そこで原子力発電所をやるときには当然立地条件を何度も、先ほど先生もおっしゃっていますように、また資源エネルギー庁長官もおっしゃっていますように、岩盤であるという地質調査をしっかりやって、そしてその上に立地をいたしております。
 その上はさらに、もう先生原子力の御専門でいらっしゃいますからおわかりでいらっしゃると思うので、また私も午前中、社会党の先生のお尋ねにお答えいたしましたので復唱は避けた方がいいかと思いますけれども、耐震構造を考えて、そして緊急の場合にはスクランブルができて、そして人的にも常にアラートな状態でいられるようにしているということは申し上げられます。
 またそれから、先ほど触れていらっしゃいます浜岡でございますが、私も、17日に地震がございまして、21日の日にやむにやまれぬ思いで、これはやはり機械といっても人間が一番緊急性を持って意識を高めているということが安全性の確保につながると思いましたので、自分で直接行ってまいりました。じかに話を聞いてまいりましたけれども、あそこの場合は、普通は岩盤上に建てているところもございますけれども、浜岡原発東海地震の一番予知できる地域でございますので、岩盤までじかに掘り下げて、その上に6m、コンクリートを積み上げている。しかも、その建物も普通の建物ではなくて、新しく検討されまして、複合建屋式という建築方式も取り入れていらっしゃるそうでございます。
 ですから、私はちょうど、村山総理はこういうお顔をしていらっしゃいますが、よく私みたいに、私の実家から本当に10km以内のところに柏崎原発もございますし、主人の実家もすぐ福島原発がございまして、そういう中にいて、常に非常にビビッドに反応しなければいけないと思っている人間をこういうポストにつけてくださっておりますので、そのこともイコール村山総理がいかに原子力の安全対策にお心を配っていらっしゃるかということではないかというふうに思っております。御理解ください。

日本共産党・吉井英勝
 実は、志賀原発というのは、学者の方が能登半島活断層のちょうど上にあるということを見つけまして、明らかにしております。それから、浜岡と柏崎刈羽原発もその敷地に活断層があるわけです。それで、地震学者は、東海地震について、浜岡町を含む長さ100kmから120km、幅50kmの範囲で断層が動き、マグニチュード8級の大地震が起こり得るということを予測しているところです。
 つまり、震源域に原発をつくっているというのが浜岡の問題であって、私もかつて浜岡を見に行きましたが、おっしゃるように岩の上に建っているといっても、原発というのは圧力容器と格納容器などだけでできるものじゃないわけです。これは当然、冷却水が地震でだめになったときには、崩壊熱で、それでも冷却しないとやっていけないんですが、実はその崩壊熱をとるための冷却水管そのものが砂地の上に置かれておったりして、これは大きな問題のあるところです。
 これは実は、1981年2月の予算委員会におきまして我が党の不破委員長の質問の中でも示しておりますが、静岡県の調査によっても、300ガル以上の圧力が加わったら浜岡は液状化する、こういう県の報告書が出ているわけです。そういうところへ原発を設置しているわけです。アメリカでいえば、活断層の上には原発はおろか住宅でもつくらないようにということを、カリフォルニアの州法といえども法律までつくって取り組んでいるぐらい。だから、それに本当に学ぼうとするのならば、やはりこういうところについては、大丈夫だ大丈夫だと事務方の方も大臣にそういう説明をするだけじゃなくて、きちっとした説明をしなきゃいけないと私は思うわけです。
 ですから、浜岡ではそういう問題があるわけですから、今回のような活断層の上の直下型地震だということになると、液状化して地盤そのものがなくなるわけです。阪神大震災から真剣にまじめに教訓を学ぶということであれば、私はやはり、老朽化している浜岡1、2号機などについては、速やかに停止をして、廃炉するかどうか、そういうことについても検討をしていかなきゃいけないだろうと思いますし、その他、何しろ日本の原発の25基が観測強化地域、特別観測地域の中に設置されているわけです。こういうふうなあり方そのものについて、これまでの基準でとても安心できないということが今問題になってきているときですから、これは総理、私はやはり、阪神の大地震から真剣に教訓を得て、これらの問題についても、少なくとも内閣としても検討をしていく、そういう姿勢というものはあなたに示していただきたいと思うんですが、どうですか。

村山富市内閣総理大臣
 先ほどもお答え申し上げましたように、やはり原子力というのは、これは事故があって、もう取り返しのつかない大きな災害になるわけでありますから、何よりもやはり安全性というものが最優先で、徹底してやってもらわなきゃいかぬということについては、先ほども申し上げたとおりでありますね。
 これまでつくられておる原子力発電所につきましては、専門家がそういう地質の調査やら活断層の調査やら十分、やはりあらゆる角度からやって、そしてつくられてきているというふうに私は思いますけれども、しかし、今御指摘もありましたような今回の地震というものの大きな影響というものもあるわけですから、これでいいのか悪いのかというようなことについては、これはもう安全神話というのはないわけですし、これまでのことに安住するのではなくて、やはりこの経験に照らして、見直すところは見直すという態度が必要ではないかというふうに思います。

日本共産党・吉井英勝
 私は、大事な経験というものを、今回もそうですが、してきていると思うんですね、技術の分野で。
 それは、せんだって我が党の志位書記局長が質問でやっておりますように、1989年のサンフランシスコ地震、1994年のロサンゼルス地震、これはいずれの調査をやった後も、日本政府は、日本の橋梁は大丈夫だという立場をとってきたわけです。1994年のロス地震の後は、参議院で我が党の上田副委員長の質問に対して、建設省はやはり、日本は大丈夫なんだと、国会答弁までしているくらいなんです。しかし、現実には、今度の阪神大震災で、私も見てまいりましたが、本当にたくさんの高速道路の橋梁落下、崩落というものがありました。ですから、そういう点でも、今回しっかりここに、教訓に学んで見直しをやらなきゃいけないと思うんです。
 原発に関してもう一つ紹介しておきますと、実は1991年の2月に、関西電力美浜原発の蒸気発生器細管のギロチン破断事故がありました。ところが、これも私は当時国会でやりましたが、その事故の実は4年前、1987年の7月にノースアンナ一号機のギロチン破断事故というのがアメリカであったわけです。アメリカ政府は徹底的にその調査をやって、翌年、1988年の2月に原子力規制委員会は原因となった三つの問題点を指摘しまして、それで、その三つの問題を中心にして、ウェスチングハウス及びコンパッション・エンジニアリングの二社の蒸気発生器を使用している事業者は、調べて、45日以内に詳細な報告書を提出しなさいとアメリカの方は命じたわけです。
 その文書は日本にも来ておったんですが、当時の日本の対応というのは、日本は原発の水管理をしっかりやっているから大丈夫である。また、その蒸気発生器について、実は政府の委託調査といいますか、安全性実証試験の検討委員会というのをそれより数年前にやっておりまして、実際に実験をやったのは実は美浜の蒸気発生器をつくった三菱重工なんですね、そこへ委託調査をやっておったわけです。それで、安全だ、安全だということでいってしまったわけでありますが、しかし、それが3年後に、1991年2月にあの事故をやったわけです。その後、政府の調査によっても明らかになったことは、結局、NRCが指摘したとおりの問題が、三つの問題ですね、美浜事故でもあったんだ、これが明らかになりました。
 ですから私は、本当にそういうこれまでの教訓をしっかり学んで、よそがあっても日本は大丈夫だという、この発想をやめて、神戸はあったけれどもよそは大丈夫だ、この発想というものをやはり転換をする。そして原発の基準についてやはり、もちろん専門家の意見もいろいろ聴取されるでしょうが、徹底した見直しをやって、そして今ある日本の原発について徹底した総点検を行う。少なくとも、今回の事故にかんがみて、これだけのことはやはりやり抜いていく必要があると思うんですが、この問題の最後に、この点についての総理の見解を伺っておきたいと思います。

通商産業大臣橋本龍太郎
 委員は工学部の御出身、こうした分野の専門家でおられるわけですから、その意見は私も真剣に拝聴をいたしました。
 ただ、私自身、技術の素養がございません。そして、先ほども申し上げましたように、原子力安全委員会が今回の地震を踏まえた検討会を設置し、そして耐震設計に関する指針の妥当性について確認する、こうしておられることを踏まえて、我々はこれも参考にし、また、まさに原子力発電技術顧問の専門的な意見も聞きまして、一層安全確保に努力をしてまいります。

日本共産党・吉井英勝
 その安全性の確認ということで、今までで基準がよかったよかった、万々歳、こういうことになったのでは本当に教訓を酌み取ることにはなりませんから、この点は重ねて申し上げて、次の問題に移りたいと思います。
 それで、私は次に、地震災害に強い町づくりとか、そういうことで建築物の問題や都市計画にかかわるような問題について質問する予定でありましたが、時間の関係でかなりの部分をはしょって、幾つかだけお聞きしておきたいと思います。
 私も実は事故の後、西宮から芦屋から東灘、灘、ずっと回って長田区まで、歩いていくのは大変ですが、自転車で9時間ぐらいかけて災害の調査に回りました。そして、高速道路がどうなっているかとか、ビルがどうなっているかとか、もちろん、後ほどお聞きしますが、被災者の方、業者の方の御要望などを見たり聞いたりしてまいりました。
 その中で、まず地震に強い建物とかそういうものを今後考えていく上でこれは一つ大事だなと思いましたのは、高速道路、鉄道、公共建築物などの耐震設計基準の見直しというものについては既にその方向で検討するということが答弁等で示されておりますが、それとあわせて、その見直しとともに、設計、施工、材質、管理のそれぞれの角度から検討を本当に行うことができるように。
 そういう点では、今確かに復興、復旧を急がなきゃなりませんから、神戸の町全体が工事現場のようになっておりますし、瓦れきをどんどん撤去するということを言っておりますが、実はそういう中で、必要な研究資料となるものを、やはり国立の試験研究機関とかあるいは近くにあります神戸大学京都大学の防災研究所を初めとして全国の研究者に、こういうものが確実に保管されて、学者、専門家の手で材料試験を初めとする分析や研究ができるように、それを保証していくことが必要だと思うのです。
 実のところ、それをやっておかないと、今度の問題についての究明もこれからの対策もなかなか科学的にできない場合もあるわけです。ですから、どんどんどんどん撤去するという中で、同時に必要な部分、これは、学者の人たちでは、例えば道路橋の足ですね、上から下までをぶっちぎって大学へ持って帰るということは簡単にいかないのです。運べない場合は、ガス切断をやるとかあるいはコンクリートについての切断をやるとかして持ち帰れるような形にして持って帰るとかしなきゃいけませんが、しかし、そういうことがなかなか進まないうちに実はどんどんそういう大事な資料というものがなくなっていっているというのが現実でもあります。実は私は、試験研究者、技術者の方たちからもそういう声をやっぱり聞いているわけです。
 そういう点で、これはまず現場での協力もしてもらわないとうまくいきませんから、道路とかそれからビルなどについて、そういう協力は、国立の試験研究機関はもとより、全国の希望する大学の研究所や学者の人たちの手にきちっと渡るような、そういう体制をとっていただきたいと思うのですが、道路、ビル等については建設大臣の方から、なお、新幹線等鉄道については運輸大臣の方からひとつお聞きしておきたいと思います。

野坂浩賢建設大臣
 先生からお話がありましたように、瓦れきの取り片づけだけではなしに、そこにも重大な資料もあろうと思っております。
 おっしゃるように、今までは、関東大震災なり新潟地震等で、それの耐震性を基準にしてつくったという現状があるわけですから、それが倒れたわけですから、地震学の先生やあるいは橋梁学の先生等、瓦れきを除去するだけではなしに、そこに重大な資料があれば全部収集をし、その傷跡といいますか、破損部分については十分に対応するようにということを言っております。
 それ以上のことについて、専門家も来ておりますので、説明させでもいいと思っております。
 それでは、事務局から説明お願いします。

藤川寛之・建設省道路局長
 今お話がございましたように、高速道路の倒壊現場等につきましては、やはり早急な交通確保を図らなきゃいけないというようなことで、今瓦れきの撤去を我々としても最大限努力しようということでやっているところでございます。
 今お話がありましたような原因究明のためのいろいろなデータの収集でございますけれども、私どもは事前に、瓦れきを撤去する前に、やはりきっちりと現場の写真を撮るとか、あるいはコアをとるとか、将来の原因究明のためのデータの収集をきちっとやれという指示をしておりまして、そういうデータの収集等もできる限り努めるということで対応しているところでございまして、いずれ私ども、この地震対策の検討委員会というのを設置しておりますので、そちらの方にそういうデータ等についてはお諮りして、いろいろ御意見を承りたいというふうに考えているところでございます。

亀井静香運輸大臣
 ただいま陸海空、それぞれ検討委員会を設けまして、現在現地で専門家が活動開始をいたしておるわけでありますが、先生御指摘のような今後の耐震研究に必要な資料等は十分きちっと確保し、将来に備えるということにいたしております。

日本共産党・吉井英勝
 この問題はもうこれだけで、次に移りたいと思いますが、基準の見直しとともに、その基準に合った設計をきちっとして施工を完璧にするということが、大量輸送手段や公共的性格を持つ建造物を利用する国民の安全を保障する上で、これは絶対にやり抜かなければならない課題でありますし、そういうことからも、過去の設計図書と、そして現場の資料とか、きちっと突き合わせもして研究もできるような、その保証というものは、今本当にやらないとこれはうまくないわけです。その点については、ぜひ建設省やそれから運輸省の方で、学者、研究者の皆さん、これは国立だけじゃなくて、地方自治体のそういう研究者の皆さんなどについても協力ができるような体制はきちっととっていただきたいということを申し上げまして、次に移りたいと思います。
 次に、これからの復興、復旧の問題について、まず基本姿勢を総理に伺っておきたいのですが、復興してきれいな安全な町になった、それはよかったんだけれども、これまでそこに住んで、商売して、働いていた人たちが追い立てられてしまうような、事実上追い立てられるような形ですね、地域社会が崩壊してしまう、そういうことになったら、これは市民の立場に立った復興計画ということにはならない、言えないと思うのです。実はそういう心配を、やはり被災者の方とお話ししておりますと、開発の仕方によってはそうなる、例えば、飲食店街のビルに入っていたけれども、うんとテナント料が高くなったらもとへ戻れないとか、いろんな御心配の声というのを私は聞いてきました。市民の願いというのは、そこに住み続け、営業し、働き続けられる町への復興、こういうことです。
 政府の復興の基本理念と姿勢というのは、私はこの市民の期待にこたえるものでなきゃならぬと思うのですが、この点についての総理の見解を最初に伺いたいと思います。

五十嵐広三内閣官房長官
 申すまでもなく、復興の基本理念というのは、あくまでも県あるいは市など地方自治体の町づくりの基本的な考え方、これを土台にして復興を進めていくということが大事なことだろうと思うのです。それはもちろん、その町々の住民参加による市民共通の理念、方針というものを立てて、そして、そのリーダーの十分な指導力のもとに困難な中でも明るさを求めて頑張っていくべきであろう、国はそれを全面的に支援していくということだろうと思います。
 もちろん国といたしましても、そのためには支援する体制をどうするかというようなこと等、十分に検討をして、御存じのようにいわゆる必要な特別立法であるとか予算等を十分に考えながら対応していくということであろうと思うのであります。もちろんこの場合、いい町をつくっていくということのためには、住民の意思というものを尊重していくことは当然でありますが、しかし、そのことはまた、住民のいい町への深い理解と協力というものが不可欠なことであって、そこは、いい町をつくるためには、公的な町づくりの考え方というものをお互いしっかり持ち合って協力し合うという、このことが一番重要であろうと思います。

日本共産党・吉井英勝
 今のお話にもありましたように、住民が参加して、そして町づくりの計画がつくられていく、それを支援するという形で、そういう復興の理念に立って進められたいと思うのですが、その中でやはり市民の復興への熱意とか参加が本当に重要なことです。 被災して工場や商店を失った人、働く場を失った人、たくさん私はお会いもして、そして本当に何とかしなければいけないという、そういう思いを持って帰ってきたわけでありますが、そして、事実上失業者になった人がたくさん出ておりますし、これらの人々に働く場を直ちに保障するということは、自分たちの町を自分たちの力で復興するという熱意を生かしていくことにつながると思うわけです。
 そういう点で、震災復興のための公的就労事業の検討などを含めて、被災者への全力を挙げた就職紹介、また窓口を広げること、職員配置を阪神に少しシフトをすることなど、機動的な対応の強化というものを労働大臣には伺っておきたいと思うのですが、どうでしょうか。

浜本万三・労働大臣
 吉井議員にお答えいたします。
 雇用対策といたしまして、国や地方公共団体が失業者を直接吸収することを目的として事業を実施いたしますことは、これまでの経験から、事業の効率性の問題でありますとか失業者の滞留や事業の永続性などから考えまして、ちょっと問題があるのじゃないかというように思っております。民間企業における雇用へ再就職するまでの暫定的な就労の場を提供するという所期の目的にそぐわない問題がありますので、公共就労事業を起こすことは適当ではないのではないかというふうに思っておる次第でございます。
 むしろ、労働省といたしましては、被災労働者の救済につきましては、かねてから御答弁を申し上げておりますように、被災地域内の事業主に対して雇用調整助成金を支給してその雇用維持を促すとともに、被災により休業や離職を余儀なくされました労働者に対しては失業給付の特例支給を行っているところでございます。
 いずれにいたしましても、今後の労働力の需給状況を見守りながら、被災労働者の職業訓練を含めました雇用の確保に向けまして最大限の努力をしてまいりたいと思います。

日本共産党・吉井英勝
 後段の御答弁が漏れていますので、そういう検討も含めてということであれなのですが、被災者への全力を挙げた就職紹介とか、窓口を広げることとか、職員配置をやはり少し阪神地区に一時的にシフトするとか、そういう機動的な対応の強化ということを私伺っているのです。

浜本万三・労働大臣
 お答えいたします。御承知のように、労働省といたしましては、各職業安定所に相談窓口を設置いたしまして、これは大阪を含めまして求職者の皆様の親切な御相談に応じておるわけでございます。また、雇用の問題は、最近も、皆さん御承知のように広域的にこれは対処しなければならないというので、広域的な対処を機動的に実施するということにいたしておるわけでございます。

日本共産党・吉井英勝
 ここでは全国の七割を占めるケミカルシューズ業界で、関係企業五百社のうち半数以上が焼失し、縫製などの下請を合わせるとケミカルシューズ製造業界の85%から90%の崩壊が見積もられております。私は、ちょうど西宮の方では酒屋さんの倒壊現場なども見てまいりましたが、ここの被害も大きいし、小売業関係で見ましても、神戸市内208商店街、8,863店舗のうち、全壊、全焼の店舗が三割を超える。市場の方も80市場、2,048店舗のうち五割近い店舗が全壊、全焼と、本当に長引く不況の中で緊急融資などを受けてやっと持ちこたえてきたところへ、今度の地震で壊滅的な被害を受けた中小業者にとって、3%融資などは、借りたくても先のことを考えると自信が持てないとか、そういう悩みの声も聞きました。
 営業再開へのハードルはなかなか高いなという感じもするのですが、金融相談に現場で昼夜を分かたず頑張っていただいているのも、これも聞いてきました。よく知っているのですが、今の営業再開への中小業者の意欲にこたえて、激甚災害法による特別融資の法定金利4.45%、3%を特例として無利子にすることなどもやはり検討していくべきだと思うのですが、この点は大蔵大臣、どうでしょうか。

武村正義・大蔵大臣
 政府系中小企業金融機関につきましては、政府による被害を受けた中小企業等に対する特別措置の実施の決定、激甚災害の指定等を受けまして、金利の引き下げ等積極的な対応を行っております。担保につきましても、実情に応じ取り扱いを弾力化しているところであります。また、被害を受けた中小企業者に対する信用保証協会の債務保証を充実するため、これは通産省の関係ですが、中小企業信用保険公庫について保険限度額の拡大等の措置を実施をいたしております。その中で、担保も保証人もない方についての保険限度額は、通常の500万円から1000万円に倍加したところであります。
 政府としましては、被災中小企業者の一刻も早い復旧を図るため迅速な対応を行っているところでございますが、まず円滑なこうしたシステムの実施が最も重要と考えておりますし、今後におきましては、激甚法の規定との関係、他の災害における措置との公平性等をも考えながら、適切に対処してまいりたいと存じます。

日本共産党・吉井英勝
 通産大臣は現地をごらんになられて、悲痛な声も聞いてもらっているわけですが、例えば大企業の技術開発だったら巨額の補助金、委託費の上に、基盤技術研究促進センターからの無利子融資とか、やはり無利子の融資という制度があるわけですね。それから、航空機開発には、開発銀行の融資に利子補給して無利子融資ということも考えているわけです。
 それから、その上、1990年のときは、公定歩合6.0%、財投金利7.9%のときであっても、激甚災害融資の金利は3%であった。今公定歩合1.75%、財投4.75%ということを考えますと、本当に生きるか死ぬかの瀬戸際の中小業者の皆さんの運転資金、設備資金として、無利子融資ということは私は考えてしかるべきだと思うのですが、簡単で結構ですから、もう一度伺っておきたいと思います。

通商産業大臣橋本龍太郎
 今までとってまいりました制度については、既に委員御承知のとおりであります。しかし、先般来本委員会でも御答弁を申し上げておりますように、それで足りるかということになりますと、私にとりましては、今後その商と工を分けて対策を立てなければならない状況等、さまざまな要因を考えますと、一層努力をいたしていきたいと考えております。

日本共産党・吉井英勝
 ぜひその努力をしていただきたいと思いますし、大蔵大臣もぜひよろしくやっていただきたいと思います。
 次に、ケミカルシューズなど地場産業、商店街の復旧、営業再開実現のために、地方自治体と協力して国が大幅に補助して、仮設工場とか仮設店舗ですね、市場、この建設をすべきだと思いますが、これは非常に要望が強いのですね。
 この点についてお伺いしておきたいのと、あわせて、既存の組合の行う共同工場、共同店舗等への補助制度の活用とともに、震災復興の意欲に燃えて新たに組合を結成して取り組もうとする、そういう業者の方たちが出てきたときに、その業者の方たちの共同工場とか共同店舗等に対する復旧事業にも補助制度の適用や無利子の高度化融資制度について対象を広げられるように、運用を弾力的に図られるように考えていただきたいと思うのですが、この二点について伺いたいと思います。

通商産業大臣橋本龍太郎
 先般、兵庫県庁におきまして知事及び市長さんにお目にかかりましたとき、私の方からお願いをいたしましたのが、一日も早く立ち上がりが必要、ですからどうぞ、例えば県の工場団地等において、あいて無事なところがあるならば、そこに仮設の工場を建てて、賃貸でも提供するような工夫をしていただきたい。私の方からお願いを申し上げました。
 今そうした方向での、共同工場あるいは商店におきます共同店舗の賃貸制度、高度化施策の一環として実施する方向で検討をいたしているさなかであります。これは協同組合に入っておられる、入っておられないの問題ではなくて、これだけ多数の被災者を出した以上、その中で幾つの業者を救えるかということが勝負なんですから、我々としては、引き続き被災地域の実情を少しでも把握を正確にすると同時に、早急に対応策を進めてまいりたいと考えております。

日本共産党・吉井英勝
 時間がもう参りましたので、最後に一点だけお伺いして終わりたいと思います。
 被災者が余りにも多数に上るので住宅がなかなか間に合わないということ、比較的長期にわたってテント暮らしや体育館等での生活を余儀なくされるという大変な事態があります。それで、仮設住宅の建設能力からしてもあらゆる努力、工夫が必要でありますし、被災生活の方には、これまでの地域での生活基盤や人間関係もあり、なかなか地元に住み続けたいという希望が強いのは当然ですが、ぜひその方向での住宅確保に努力されたいと思います。
 同時に、実は近隣四県に、これは通産の方に私お尋ねしたところ、大手企業の空き社宅等について、なかなか調べにくいということで直接の回答はないのですが、しかし、姫路市新日鉄広畑製鉄所の寮は、通産に尽力いただいて百四十戸の確保ができたわけですね。それから、高石市にあります三井東圧と興亜石油、合わせて百戸とか、こういうのがあるわけです。ですから、ぜひ、高炉の火が消えたり海外移転などで空き社宅がかなり出ていますから、こういうものについても通産としても積極的に協力を求めて調べていただいて、空き社宅、寮等について、仮設住宅ができるまでの間とかそういうことも含めて緊急に雨露をしのげるように努力をしていただきたい。この点だけ最後に伺って、質問を終わりたいと思います。

通商産業大臣橋本龍太郎
 今委員から御指摘でありますけれども、民間の企業、確かに多数の社宅等を有しておられる企業もありますが、それぞれが自身の社員の被災者等々で相当こった返しておるようであります。しかし、要請をいたし、調査をいたしましたが、既に提供済みのものを含めまして600ケースぐらい、件と言って建物の数と混線するといけませんのでケースと言わせていただきます、既に600ケースぐらいが全国から申し出をいただいておりまして、国土庁の方にも報告をさせていただいております。

日本共産党・吉井英勝
 終わります。